語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

「黄色い電車」の呼称についての考察
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    「黄色い電車」の呼称についての考察

     

     結論から書くと、「JR東日本の、千葉〜三鷹を結んで(注1)各駅に停車し、黄色い帯の入った電車(以下、黄色い電車)で運行される運行系統(注2)の呼称を、『総武中央線各駅停車』で統一、周知徹底してほしい」と考える。

     正式な路線名は、千葉〜錦糸町が総武本線、錦糸町〜御茶ノ水が総武本線の支線、御茶ノ水〜三鷹が中央本線(注3)であるが、旅客向けの案内では、他の多くの路線と同様(注4)、正式な路線名ではなく、運行系統としての名称が用いられている。

     現状では呼称は統一されておらず、「中央・総武線」「中央・総武線(各駅停車)」「中央線・総武線各駅停車」「中央・総武各駅停車」「総武・中央線(各駅停車)」「総武線・中央線各駅停車」「中央線(各駅停車)」「総武線各駅停車」「総武線(各駅停車)」と、多様な表記または放送案内がなされている。

     1969年以来、現在とほぼ同じ形態の運行系統であるのに、呼称が統一されないまま50年も放置されているのは常識的に考えてもおかしいし、乗り慣れている人はともかく、特に毎年地方から上京してくる新大学生や新社会人、外国人旅行者などには混乱の元でもあろう。

     ではどのように統一したらよいか。現状の表記を見ると「中央・総武〜」のように「中央」を先に持ってくることが多いようだが、冒頭にも書いたように「総武中央線各駅停車」と「総武」を先にし、ナカグロは入れないのがいいと思う。

     

    ・「総武」を先、「中央」を後にした方がいい理由:

     一般には、あの黄色い電車を「総武線」と認識している、またはそう呼ぶ人が多い。黄色い電車が中央線「も」走ることを知っている人はもちろんいるが、それで混乱を招くことはない。

     逆に単に「中央線」と言った場合、多くの人がまず思い浮かべるのは、中央快速線を走るオレンジ色の電車である。雑誌「東京人」(都市出版)では「中央線の魔力」という特集をたびたび組んでいるが、いずれの号の表紙にもオレンジ色の201系やE233系のイラストが描かれている。

     実話として、水道橋や東中野に中央線各駅停車で行くと言ったら「え、あの黄色い電車は総武線でしょ」と怪訝に思われたことがある。

     また近年導入された駅ナンバリングにおいて、当運行系統の略号は「JB」だ。当然「SOBU」のBと思われ、JR自身も「総武線」だと思っているのである。

     

    ・ナカグロを入れない方がいい理由:

     似た例である、京浜東北線、湘南新宿ライン、上野東京ラインにはいずれもナカグロを入れていない。ナカグロを入れるのは、より必要性が増した場合の最小限に留めるのがよい。例えば「京浜東北・根岸線」「横須賀・総武快速線」のように、いったん呼称が定着した運行系統が他の運行系統と直通、一体運用する場合などである。

     また1文字とはいえ、さまざまな点で経済的である(現状でこれにナカグロがあるだけの「総武・中央線各駅停車」表記は、老朽化に伴う更新の際などに徐々に改めていけばよい)。

     

     ちなみに、似たような形態で運行される京浜東北線と比べて、現状では表記の揺れが甚だしいが、理由はよくわからない。国鉄当時の千葉鉄道監理局と東京西鉄道管理局の仲が悪かったのだろうかなどと邪推してしまう。

     一つ言えるのは、京浜東北線の場合は「京浜」という、路線の正式名称には使われていない「愛称」を名前の最初に持ってきたことが、呼称の統一・普及に一役買ったのではないか。

     これをもし「東海道・東北線各駅停車」などとしていたら、総武中央線各駅停車と同様の混乱を来していたであろう。一方で、以前は京浜東北線のことを京浜線あるいは京浜電車と呼ぶ人も多くいて、その場合は京浜急行と間違われることもあったのではと想像する。京浜急行が「京急」を強調するようになってだいぶ解消されたと思われる。

     現在の運行形態が確立した当時か、または少なくとも京葉線ができる前であれば、京浜東北線にならって、例えば「京葉中央線」などとできたかもしれない(「京葉」は京葉工業地帯や京葉道路などでなじみがあるので、定着しやすかったのではないか)。しかし、実際にはすでに京葉線が開業しているし、今からそのように変えるのはかえって混乱の元だろう。

     また「千葉三鷹ライン」なども、近年の湘南新宿ラインや上野東京ラインのように、何か新しい運行系統ができたのかと誤認させてしまう。

     やはり「総武中央線各駅停車」で統一するのがわかりやすいし、現状からの移行に際しても混乱が少なく、望ましいと考える。

                                                                                                                                                                         (Command Z)

     

    注1:

     途中駅を発着する電車も多数ある。また深夜早朝には一部、武蔵小金井、国分寺、立川まで直通する列車もある。

    注2:

     早朝深夜は運行形態が変わるが(黄色い電車は千葉〜御茶ノ水間で折り返し運転、東京〜御茶ノ水〜高尾間はオレンジ色の電車が、各駅停車、快速の両方も使用される)が、この記事ではひとまずそれ以外の時間帯について述べた。深夜早朝については現状どおり、表示板等は昼間のままとし、案内放送等で補足説明するので十分と考える。

    注3:

     さらに厳密には代々木〜新宿は山手線である。

    注4:

     例えば山手線は、正式には品川〜新宿〜田端のみを指す。

     

    | co-verita | 校正者の暮らし | 09:35 | - | - | - | - |
    山手線の車内案内表示
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      山手線の車内案内表示

       

       このたび新たにブログを書くことになりました「command Z」です。コマンドズィーまたはコマンドゼットとお読みください。日常業務では雑誌の校正・校閲を担当しています。どうぞよろしくお願いします。

       当ブログには、校正・校閲の仕事をしていて考えたこと感じたこと、世の中の言語表現・表記・表示等に関すること、その他の話題について書いていこうと思います。(ここからは常体で失礼します。)

       通勤でほぼ毎日JR山手線を利用している。最近の多くの通勤型車両と同様、山手線車両の車内にも、客室ドア上部に液晶ディスプレーが設置され、これから停まる駅・到達時分・乗り換え路線等が表示される。便利な機能ではあるのだが、山手線に関しては違和感を覚えるのも事実である。どういうことか、最新型車両であるE235系の例で説明しよう。

       ディスプレーの表示は、数種類の内容が切り替わるようになっているが、いま問題にするのは以下の2種類だ。いずれの写真も原宿駅から渋谷駅に向かう内回り電車の車内で撮影したものである(実際にはそれぞれがさらに多言語で切り替わって表示される)。

       写真1は、これから停まる駅が5駅先まで表示される内容である。電車の進行方向に対して右側に設置されたディスプレーを撮影したものだ。この写真で言うと実際の電車は左に向かって進んでおり、画面内の進行方向と一致していて(斜めに弧を描いてはいるが)問題ない。ところが、実は進行方向左側のディスプレーにも全く同じ内容が表示されているのだ。つまり左側のディスプレーでは、電車と画面内の進行方向とが逆向きになってしまう。これがまず違和感を覚える点である。

       

       

        また写真2は、山手線の路線全体が表示される内容だ。1と同じく右側のディスプレーを撮影したもので、やはり電車は左に進んでいるのだが、ご覧のように画面内の表示では右に進んでいて逆向きだ。ちなみにこのときも、左側のディスプレーにはこれと同じ内容が表示されるので、左側のディスプレーについては、電車と画面内の進行方向が一致する。しかし電車と画面内の進行方向が一致するのが、1では進行方向右側、2では左側と違っているのも変な話である。

       そして、2では画面内の6時の位置に田端駅、12時の位置に大崎駅と五反田駅が表示されているが、この位置関係は電車が路線のどこの区間を走っていても変わらない。だから、内回り電車の右側のディスプレーについては、神田〜田端〜新大久保の区間を走っている間は、電車と画面内の進行方向が一致する(左側のディスプレーでは逆向きになる)。

       さらに外回り電車を見てみよう。2については駅の位置関係は内回りのときと同じで、進行方向を示す矢印が内回りと逆向き(時計回り)になるだけだが、1についてはカーブの向きが内回りと逆向きに(下から斜め右上に向かうように)表示される。内容自体は内回りと違えてあるものの、左右のディスプレーに同じ内容が表示されるのは内回りと同様なので、今度は左側のディスプレーでは電車と画面内の進行方向が一致するが、右側のディスプレーでは逆向きになってしまう。

       以上が、私が覚えた違和感である。ご存じのことと思うが、山手線は環状運転を行っており、しかも路線全体の形は縦(南北方向)に長いいびつな楕円形なので、これを横長の画面に収めるにはいろいろ齟齬が生じるとは思う。しかし、旧来の紙に印刷した路線図や、固定されて動かせないタイプの表示器とは違い、現在のディスプレーの表示内容は、プログラムによってかなり自由に変えられるはずである。1では車両の左右の側で表示の向きを変えて、左右の両側とも実際の電車と画面内の進行方向を一致させる、2では電車が進むに従って路線図を回転させ、どこの区間を走っていても電車と画面内の進行方向を一致させるなどは、そう難しくないことだと思われるがどうだろう。

       筆者は、山手線の案内表示が上に述べたようであっても、それが原因で、行きたいのと逆方向の電車に乗ったり、降りる駅を間違えたりすることはない。しかし空間認識が苦手で、実際の電車と画面内の進行方向が一致していないと混乱してしまう人などもいるのではないだろうか(発達障害、学習障害、バリアフリー、ユニバーサルデザイン、インフォグラフィック等に関連すると思われるが、ここではひとまず踏み込まない)。こういったところにも「人に優しいデザイン」が求められると考える。                                     

                                                                                                                                                                       (command Z)

      補注1:

       ただし実は「実際の進行方向にかかわらず、表示の向きが一定である方がわかりやすい」人もいるのである。

       カーナビの画面表示について、多くの人は常に車の進行方向が上になる(車が向きを変えるに従って画面も回転する)ように設定している(あるいはデフォルトの設定がそうなっている)と思われるが、筆者が知る範囲では1人だけ、常に北が上になるように設定している友人がいる。

       今回この記事を書くにあたってその友人に尋ねてみたところ、山手線車内の路線図の表示(上で言う写真2)についても、カーナビと同様、回転しない方がわかりやすいとのことであった。「少数派かもね」とも言っていた。「全ての人に優しい」がいかに難しいことか痛感したし、一方ではデザインについていっそう興味が深まった次第である。

      補注2:

       他形式の車両や、環状運転を行っている他線(JR大阪環状線、都営地下鉄大江戸線、名古屋市営地下鉄名城線、札幌市電等)についても、機会を作って調査してみたい。

       

      | co-verita | 校正者の暮らし | 13:37 | - | - | - | - |
      私の抱負
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        私の抱負

         

         2019年が始まりました。新しい年になったからどうなんだ、という気もしますが、前回の投稿から間が空いたので、心機一転の意味も込めて今後の抱負を書きます。

         

        1、簡潔な文章を書く

        「語り継ぐVERITA」で文章を書き始めてから2年が過ぎました。正確な文章を第一に心がけ、誤ったことは表に出さなかったつもりです(昨年9月8日投稿「最近の失敗談」のように未遂はありましたが)。でも、読み返してみると文章が冗長でくどい。一目で要旨がつかめる、そんな文章を目指します。妙案はありませんが。

         …これは抱負というより、喫緊の課題です。昨年末から残業が増え、帰宅後は入浴して寝るだけ、なんて日もありました。平日も推敲や論拠探しにあたっていた遅筆の私にはちょっとつらい状況で、従来とは違う書き方が求められているというわけです。

         

        2、しっかり休み、しっかり動く

         昨年中盤から首の後ろ側が痛むように。これまでになかった症状です。健康診断で医者に相談するとパソコンの見過ぎでしょう、とのこと。一昔前に比べたらパソコンを見る時間は減ったと思うのですが、年をとる、というのはこういうことなんでしょうか。体力がないことでは定評があり、老化なんて関係ないだろ、と思っていましたが、やはり変化は訪れるようです。幸い現時点で健康診断の結果は良好なので、今のうちから生活スタイルをメリハリのあるものに変えていこうと思います。

         

        3、仕事は仕事、読書は読書

         ヴェリタに入社して以来、プライベートの読書も仕事の延長線上と位置づけ、誤字脱字などを意識して読むようにしていました。しかし、市販の本に間違いがそうそうあるものではなく、仕事の質が目に見えて向上したかというと定かではなく。一方で本を読む速度は目立って遅くなり、読書量が減りました。図書館が家の近くにあって読書環境は最高なのに、読むのが遅くて、貸出期限内に読了できないのでページ数の多い本は手が出ませんでした(書店で買うという選択肢もありますが、家に置くスペースがないし、古い本でも極力捨てたくない)。今年からは方針を転換し、プライベートは仕事のことを忘れて、手あたり次第に読んでいきます。

         

         以上、抱負でした。じっくり取り組む所存です。

        (てーるはっぴー)

        | co-verita | 校正者の暮らし | 13:17 | - | - | - | - |
        無趣味人間の生活と悩み
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          無趣味人間の生活と悩み

           

           最近ブログへの投稿が、社会時評が続いて一本調子になってきました。少し趣向を変えて身の回りのことを書こうかと振り返れば、ここ1、2年、平日は仕事、休日は部屋の掃除などの家事をした後で主に読書やテレビ番組を見て過ごす、というあまり代わり映えのない生活。特筆するようなことがありません。

           趣味がたくさんあれば生活も変化に富んだものになるのでしょうが、読書以外に趣味といえるものがありません。読書は趣味の範疇には入らないという意見もあるので、無趣味といった方がいいかもしれません。

           なぜ趣味がないのか。運動神経が悪いのでスポーツはやらないし、不器用だから何かを作るという方向にも進まない。そして集団行動が苦手なので、誰かと何かを楽しむという発想が出にくい。結果、趣味らしい趣味を持たない、ということになるわけです。

           他人から見ればつまらない生活と思われるかもしれませんが、意外と楽しいものです。本にしてもテレビにしても日々新しい情報が積み重なっていくので、読み尽くす・見尽くすということは起きません。また、以前読んだ本でも、その日の気分や知識量の変化によって受け止め方が変わってきます。

           それに、「あまり代わり映えのない生活」といっても、イレギュラーな事象は発生します。玄関に油だまりがある状態が数日続き、原因を調べたらドアクローザーの接合部から油が漏れているのを発見したり(後日業者に修理してもらいました)、電気カミソリの外刃に穴が開き、近所の電気屋に行ったら在庫が見つからず遠出する羽目になったり。予想もしないところからいろんなことが起きて退屈しません。

           そんなこんなで無趣味であっても、主観的には充実した生活を送れていると思いますが、最近少し悩みが。平日に夜更かしなどして生活リズムを乱すと、休日にツケが回ってくるのか体がだるくて一日中やる気が起きない、ということがあります。しっかり早寝早起きをして自律神経の調子を整えればいいだけなのでしょうが、趣味があったら体を動かすモチベーションができてもっと生き生きとした休日を過ごせるのかな、とも思います。明確な答えはありませんが焦らずじっくり考えてみます、仮に無趣味でもそのことで他人に引け目をかんじることはないのだから。         (てーるはっぴー)

          | co-verita | 校正者の暮らし | 23:57 | - | - | - | - |
          趣味・読書
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            趣味・読書

            のみかたの趣味は読書です。校正者の趣味としては意外性がありませんが。好きなジャンルというものは特になく、なんでも手当たり次第に読む、いわゆる「雑食系」の読者です。仕事で単行本の校正をするときは、だいたいどんな種類の本でも楽しんで読むことができるので、そういう意味では天職なのかもしれません。

            ただ、読んだ本にすぐ影響を受ける、というのは我ながら困った傾向だと思っています。これは校正の仕事を始める前からそうで、若いころから今日まで、なおる気配がまったくありません。若いころにドストエフスキーの『罪と罰』を読んだときにはしばらく他人の心理分析をすることに熱中しましたし、織田信長の小説を読んだあとは現代社会でうつけものとして生きるにはどうすべきか悩みました。すべての産地の紅茶を飲み比べたり、自分でコーヒーを焙煎しようとしたり、モーターボートを買ったり、パテックフィリップの機械式時計をコレクションしようと本気で思ったこともありました。

            だいたいはエネルギーが続かなかったり、お金がなかったりしてあきらめて、そのうち忘れていった夢ばかりなのですが、今読んでいる本は、さっそく生活の中に取り入れることができ、非常に満足しています。それは、もやし。飯塚雅俊著『闘うもやし』は、もやしという身近な野菜に対する無知に気づかせてくれた本です。

            子供のころから「これがもやし」と思ってきた、「太くて短くて、根っこと豆が付いていない」もやしは、実は比較的最近開発された新しい育成法による「新種」で、昔ながらのもやしは、本当はもっと細くて根っこと豆がくっついている、しっかりした歯ごたえのある野菜なのでした。スーパーのもやしコーナーをよく見ると、少し値が高い(といっても70〜100円くらい)細っこいもやしが売られています。炒めてみると、あまり水が出ず、ちゃんと豆の香りがしました。

            こういうことはあまり校正とは関係ないように思えて、「本に書いてあることを実際に確かめる」「当たり前と思っていることを疑ってみる」という、知的活動には必須の行動なのだと思います。校正者たるもの、日々の生活の中でも、多様な知識を吸収し、成長していかなければ。というわけで、しばらくはのみかたのもやしブームは続くのです。   (のみかた)

            | co-verita | 校正者の暮らし | 17:49 | - | - | - | - |
            最終講義
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              最終講義

               

              大学時代に大変お世話になった先生が3月で退任されることになり、その最終講義を聴講しに先日数年ぶりに母校を訪ねました。周囲の風景は多少変わりましたが、キャンパス内はほとんど変わっておらず、昔の記憶がよみがえってきました。

               在学当時、私は図書館情報学を専攻していました。あまり耳慣れない言葉だと思いますが、図書館情報学とは、貸し出しなど図書館のサービスや運営、歴史等を学ぶ図書館学に情報の性質や検索、伝達の過程等を学ぶ情報学が結びついてできた学問です。本に関わる仕事がしたいという思いから、司書になるために選んだ道でしたが、周囲の皆さんには迷惑をかけてばかりでした。

               そんなことを考えていると、先生が教壇に現れ講義が始まりました。講義では、歯医者と併設している図書館、ランドセル置き場がある図書館など、先生が訪れた全国のユニークな公共図書館(北は北海道から南は沖縄県まで全都道府県計772館!)が多く紹介されました。「図書館にそんなに違いはないだろう」と思っていましたが、いろいろあるものです。

               このように書くと「ナニコレ珍百景」の図書館版みたいですが、「?」のパネルを使ってレファレンスサービス(図書館員が利用者の調べものを支援するサービス)を分かりやすくする取り組み、地元の企業が雑誌を購入する事例など、現場の地道な取り組みの話もありました。そして最後に先生は“If information is currency of democracy, then libraries are its banks”(情報が民主主義の通貨だとしたら、図書館は銀行である)というアメリカの上院議員の言葉を引用し、図書館は銀行とは違って貸し渋りはしません、とまとめました。真面目な中にもユーモアに富んだ講義で、図書館の目指すべき道がよくわかる内容でした。

               紆余曲折あって、図書館の世界から離れ、現在では校正の世界にいる私ですが、図書館情報学を通して情報とその社会的責任について学んだことは大きかったと思います。そして、目立たないが情報に対して大きな責任を担い、一人一人が主体的に考えて行動するために不可欠な役割を持っているという点で、図書館と校正はよく似ているということを今回の講義で再確認しました。           (てーるはっぴー)

              | co-verita | 校正者の暮らし | 07:26 | - | - | - | - |
              買い支える
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                買い支える

                 

                私の趣味は海外ドラマ(主にアメリカ)の視聴で、前はよくレンタルビデオ屋さんでDVDを借りたりしていた。しかし5年前にBSの無料チャンネル「Dlife」が開局して以来、すっかりヘビーユーザーに。同局では一昔前の作品の放送が多いのですが、あちらのテレビドラマはクオリティーの高いものが多いため、古さなどは全然気になりません。TSU〇AYAからは、すっかり足が遠のくようになってしまいました。

                最近はいろいろなコンテンツが無料で手に入るので、わざわざお金を払って購入するのには、なかなか決断力がいります。本や雑誌についても同じで、以前は、多い時には1か月に15〜20冊も買って、そのまま「積読(つんどく)」にしておくということがありましたが、いまはお金を払う前に「本当に必要かな?」と考え直す機会が増えています。「必要!」と判断しても、「同じような無料コンテンツがあるよな」と思ったら、買わないのです。

                そんな私ですが、この10年くらい変わらず買い続けている雑誌があります。「THE BIG ISSUE」。街頭で販売者の方が売っている、隔週刊の雑誌です。買い続ける動機の第一は、もちろん内容の面白さで、毎号他の週刊誌とは一線を画した“濃い”記事を楽しんでいます(2017年1月号の特集は、「奇跡の水月湖 ―世界“標準時間”への旅」という環境考古学の記事。渋い!)。

                でも、内容が気に入っているというだけでは、こんなに長い期間買い続けなかったとも思うのです。やっぱり、こういう面白い雑誌が「続いてほしい」という気持ちが購入の最後の一押しになっています。おこがましいかもしれませんが、「買い支える」という意識があるわけで、そういう意味では「消費者」ではなく「サポーター」的な関わり方ですね。

                というわけで、「THE BIG ISSUE」以外のものに対しても、買うかどうか迷ったときには、「買い支えたいかどうか」が最終的な判断基準になっている私。「もし、私がいま買わなかったことで、この会社がつぶれてしまったら、それで後悔しないか?」。買う決断の前にこう考えることで、少しだけ爽やかな気持ちで、消費者生活を送ることができています。           (のみかた)

                | co-verita | 校正者の暮らし | 02:59 | - | - | - | - |
                校正者の?!料理
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                  こんにちは、のみかたです。前回の続きで、校正者の暮らしというテーマですが、今回は家事・料理についてです。

                  残業もあまりなく、基本的には早く帰れるヴェリタですが、ずっと文字を読み続けたあとにはけっこう疲れています。今日はもう帰ってすぐごろごろしたいという日もあるのですが、帰途、今日やる家事の順序を、すでに考え始めている自分がいます。

                  とはいっても、家事には楽しい側面もあるもの。とくに食事の用意には、ちょっと特別な喜びがあります。『きのう何食べた?』(よしながふみ)のシロさんが言っていたように、時には仕事をひとつ片づけたくらいの達成感を味わえる、なかなかに偉大な作業です。

                  まず買い物の準備をしなければなりません。仕事帰りの電車の中で、いくつかのスーパーや商店をどう回るか、入念にシミュレーション。まずは途中駅の○友で納豆と牛乳をゲット、その後ラ○フに回って特売価格の長ネギを1束と大根を1本、そうしたら地元スーパーが値引きを始める時間になるから、塩ジャケと鶏ももが安くなったタイミングで1パックずつ、最後に家の近くの八百屋に寄って……。計画通り合理的に回って、売り場でお値打ちの商品をさらえたときのテンションは、まさに獲物をしとめたハンターのよう。

                  食べ物を持って帰ったら、次は調理。まずは米をといで炊飯器にセット。鍋にお湯を沸かして、だしパックを放り込んだら、家にあったキャベツとニンジン、豆腐の味噌汁を作る。買ってきたネギを中華鍋で炒め、鶏肉と大根と一緒に煮込む。あとは、グリルでシャケを焼き、冷蔵庫に入ってた小松菜をゆでておひたしに。やはり冷蔵庫に入っていたトマトは、切ってそのまま食べる。最後に納豆に卵を混ぜたらおかず完成。そのうちお米が炊き上がるので、夕食ができあがります。

                  限られた時間の中で、ひとつのタスクから次のタスクへ、最も効率的に作業するにはどう動けばいいか。仕事処理能力のエクササイズにもなる、はずです。             (のみかた)

                  | co-verita | 校正者の暮らし | 09:47 | - | - | - | - |
                  通勤あれこれ
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                    通勤時の話

                     

                     今回は休日の日常について書こうかと思いましたが、趣味らしい趣味もなく、ほぼ毎回食事と清掃と読書とテレビとネットサーフィンの繰り返しという、はた目から見ると退屈な内容(私は特に不満はないのですが)だと思われますので、テーマを変更します。

                     通勤時は始発電車に座り(たまに予定より大幅に遅れるため、先に来る別の電車の吊り革につかまることも)、降車するまでのんびりトレインチャンネルを見ることもありますが、最近は『記者ハンドブック』(第13版、共同通信社編著)を読むことが多くなっています。現在の『記者ハンドブック』は第12版から昨年改訂したばかりで、新聞広告で目にした方も多いのではないでしょうか。ヴェリタでは社内報などの校正時に文章表記の基準などとして使用が指定されることが多く、私も仕事を始めたころは旧12版のハンドブックを何度も確認したものでした。その後作業のスピードアップの必要から使用量を減らしていたのですが、先日ある案件でハンドブックを使って指摘するべき部分を何点か取りこぼしていたことが発覚。幸い私の後でゲラを読んだ方が取りこぼしを拾ってくれたので事なきを得ましたが、それ以来日常的に読んで慣れようと、通勤時に読むようにした次第です。

                     記者ハンドブックのほかに、過去の失敗事項をまとめたメモなどを読むこともありますが、こうして文章化して振り返ってみると昨年は(も?)失敗の多い年で、それを教訓としてうまく生かせなかったということを感じます。それでも文章として客体化することで頭の中から解き放たれ、落ち着いて過去の失敗を見ることができます。今年は去年よりいい年にしたいものですが、失敗するにしても前進の一助にできるようにしたいです。

                    (余談)車内はそれほど混んでいるわけではないのに、昔のように新聞を読んでいる人はいません。スマートフォンやタブレットに取って代わられたのかもしれませんがここ1年で急速に減ったような気がする、と思っていると車内広告に新聞の電子アプリの情報が。自分もネット上でニュースを読むのだからそれほど意外なことではないはずですが、世の中の流れとは逆に最近紙媒体に回帰気味なので紙離れを強く意識しているからかもしれません。

                    (てーるはっぴー)

                    | co-verita | 校正者の暮らし | 13:50 | - | - | - | - |
                    校正者の帰宅後
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                      校正者の帰宅後

                       

                       こんにちは、のみかたです。ヴェリタは、校正の会社としては勤務時間が短いほうで、普段は残業もあまりありません。なので、繁忙期でないときはけっこう早く帰宅することができるのです。今回のブログではそういうときのいろいろな時間の使い方について書こうと思います。

                       ひとつは、校正者としての実力を上げるためのいろいろな活動。のみかたはあまり真面目ではないので、仕事でよく使う『記者ハンドブック』を読みこんで今年3月の改訂による異同箇所を確認したり、漢字検定の勉強をしたり、ということはあまりやっていません。

                       のみかたの活動は主に、勉強のためという名目の読書です。最近は、毎日新聞・校閲グループがやっているサイト「毎日ことば」が「校正者におすすめ」と言っていた本を読んだりしています。さいきん読み始めたのが、文春新書の『新聞と現代日本語』。戦後現代日本語のさまざまな表記が、どういう理屈に沿って、どういう歴史をたどって決められてきたか、というようなことがわかる本です。著者はもと新聞の校閲部の方なので、新聞の言葉の使い方のガイドラインである『記者ハンドブック』をよく使う校正者にとって、役に立つ内容が書かれているのだと思います。

                       本書と並行して読んでいるのが、津村記久子さんの『この世にたやすい仕事はない』。小説に詳しい知人に「今年のNO.1だよ!」と勧められた本です。別に校正とは関係ない内容ですが、いろんな読み物に触れるのは、校正者にとってとても大切。特に小説というのは「著者性」がとても高いものなので、自分の悪い癖でもある、校正者特有の「直したがり」を矯正するためにも、積極的に読まねばと思っています。何より、すごく面白そう。第1話に出てくる、他人の部屋をずっと監視し続ける仕事、ちょっとやってみたいと思いました。校正者に向いている気がします。

                       本は、装丁もすごく凝っていて、カバーには字がぷっくり浮かび上がる加工(たしかUV加工という)が施され、章トビラはすべて4色フルカラー(別丁差し込みではない)。まだ読み終わっていませんが、かわいい本なのでおすすめです。

                       ということで長くなってしまったので、読書以外の活動については次回に書こうと思います。(のみかた)

                       

                      【管理人より】文中の『記者ハンドブック』は共同通信社刊、2016年3月24日に13版第1刷が出ています。『この世にたやすい仕事はない』は日本経済新聞出版社刊(この仕事は残念ながら当社では請け負いませんでした)、2015年10月16日初版刊行です。

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