語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

2024年2月のクイーンセッション
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     2023年12月のクイーンセッションで知り合った何人かに誘われ、またまたクイーンセッションに参加してきた。会場は横浜の初めて行くスタジオだ(店長も12月の参加者)。

     このセッションはホストバンドがいるシステム。参加者の希望曲を、足りないパートはホストバンドがサポートしてくれる。今回はドラム専任がホストバンドのドラマーと筆者だけだったので、結構な曲数に便乗した(22曲中10曲)。

     参加が遅れたので自分から表明はしなかったが、クイーンはどの曲も楽しく、過去に叩いたことのない曲もけっこう挙がっていたのでOKだ。また「原則的にライブバージョンで」との指定があった。

     当日は午前中に健診(バリウム検査あり)、午後に知人のマンドリンオケを聴いてからの参加で、タイトなスケジュールとなった。

     

    ■One Vision

     セッションのオープニングにふさわしい選曲。筆者は初演奏。イントロのシンセとボイスによるSEは、生で演奏するのか省略するのかどっちかなと思っていたら、店側で用意してあり流してくれた、なるほど(^^)。今回キーボードはすべて12月に見たコピーバンドの奏者が担当。技量があり、楽曲をよく理解し、12月にも多数の曲で共演したので筆者とのコンビネーションもばっちりだった。

     

    ■Tie Your Mother Down

     有名曲であり、筆者はコピーバンドやセッションで何度も演奏している。Live Killersバージョンはやや速すぎるので、テンポのみはスタジオ版くらいでと筆者が提案し、そのように演奏した。

     

    ■I'm In Love With My Car

     全体の雰囲気はKillersバージョンでよいが、尺が短くなってしまうので、そこはスタジオ版の構成でということになり、そのように演奏した。

     

    ■Sweet Lady

     12月のクイーンセッションでも、初期のややマニアックな曲が好きということで筆者と意気投合・共演した、ボーカリストF氏の表明。これは便乗せねば(笑)。ハードでかっこいいが、リズムがややトリッキー。しかし難なく完奏できた。 

     

    ■ It's Late

     この時期のクイーンにしては長尺でやや複雑な構成。この曲はスタジオとライブであまり違いはない。筆者は以前にバンドでよく演奏しており、忘れてもいなかったので(笑)無事に完奏。

     

    ■Dreamers Ball

     筆者は初演奏。古いジャズやブルースのような曲調で、本家クイーンのライブではアコースティックで演奏している。冒頭でロジャーかフレディがシェイカーを振っているので、持参してややオーバーに再現した。

     

    ■Jealousy

     筆者は初演奏。これもF氏の表明。本家の演奏では独特な音色のスプラッシュシンバル?が入っていて、近いものを持っているので持参しようと思ったが見つからない。…そうか、しまった、一昨年、知人に譲り渡したのだった(爆)。普通にクラッシュのカップを叩いて対応。

     

    ■I want to break free

     12月にも参加したハーモニカS氏の表明。ボーカルパートをハーモニカで吹くのだ。クイーンはハードロックナンバーも多いので、何の曲でもハーモニカが合うわけではないが、12月はLove Of My Life、この日は他にCrazy Little Thing Called Loveと、絶妙な選曲。次はRadio Ga Gaを吹いてみたいそうで、筆者は選曲やアレンジで相談を受けた。S氏には今後も独自の路線を開拓してほしい。

     

    ■Now I'm Here

     有名曲であり、筆者はコピーバンドやセッションで何度も演奏している。Killersバージョンはやや速すぎるし、中間部フレディのコール&レスポンスが長いので、Wembleyでということに落ち着き、そのように演奏した。…って、Tie Your Mother Downとほぼ同じコメントだな(笑)。

     

    ■Radio Gaga

     筆者最後の出番は、有名かつ特に難しくないかつ盛り上がる曲で、この日の演奏を終えた。

     

     セッション後はF氏(鉄道マニアでもあることが判明)と、野毛のホルモン店で音楽鉄道その他を語り合い、別れて帰途に就いた。(command Z)[2024/03/12記]

    | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 16:33 | - | - | - | - |
    2024年2月のセッション
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       一昨年以来参加している恒例のセッションが半年ぶりに開催され(前回筆者は風邪で欠席)参加してきた。筆者以外のメンバーは学生時代からのつきあいだが、実は某プロ・プログレギタリストK氏も仲間で、今回は都合がつくので参加する。楽しみだ。

       今回の「縛り」は「プログレつながり」。楽曲またはバンドがプログレならもちろん、「プログレバンドにいた人がメンバーであるバンド(例:ニール・マーレイが在籍していたVOW WOWやWhitesnake)」や「のちにプログレバンドに入る人が、以前にやっていたバンド(例:バグルス、Mr.ミスター)」の曲などもOK。最近ドラムを叩く機会が少ないので前日にスタジオで2時間個人練習をして臨んだ。

       筆者が演奏したのは以下6曲。凡例:曲名 / アーティスト名(選曲の理由〈特記以外は普通にプログレの範疇〉)

       

      ■Arriving Twice / Gilgamesh

       バンド名は知っていたが聴くのも叩くのも初めて。短いが(1'37")変拍子だらけ、「労多くして功少なし」と言っていた人もいたが、曲調は可愛く無事に完奏できたのでそんなことないと思う(笑)。K氏も「よくみんなちゃんとコピーしてくるなあ」と。筆者の採譜では、(2/4×7 + 6/16 + 2/4×10 + 6/16 + 2/8 + 2/4×2 + 3/8 + 1/4 + 2/4×6 + 3/8 + 4/8 + 4/4) × 2。

       

      ■Teenage Wildlife / David Bowie(ギターがロバート・フリップ)

       ボウイのこの時期のコピバンは以前に組んでいたがこの曲は初めて。全体は普通に4/4だが小節数がイレギュラー。それと2番以降最後までドラムがずっとスネアの頭打ちという変なアレンジ(一応そのままコピー)。

       

      ■Animate / Rush

       筆者が前回表明したものの風邪で欠席。しかし「表明者欠席の場合は次回回し」ルールがあり今回めでたくリベンジ。曲調はプログレチックではなくヘヴィロックの趣。がっつり叩いたが、同じドラムのS氏から「カップの裏打ちを端折ってた」とツッコミ。難しいのよ(笑)。

       

      ■Ghosts / It Bites

       これも名前は知っていたが未聴だったバンド。ハードでメロディアス、かっこいい。1カ所に3/4が1小節の短いドラムフィルがあるのと、1カ所に引っかけで変拍子に聴こえる箇所があるほかはストレートな4/4。他の曲も聴いてみよう。

       

      ■Carry On Wayward Son / Kansas

       これだけ筆者はドラムではなくリードボーカル。当初はキーボーディストがボーカルも兼任の予定だったが「弾きながらは無理」とのことで代役に名乗りを上げた。キーは高いが裏声を交えれば何とか歌える音域。K氏のギターをバックに歌える貴重な機会だ。本家ライブでは間奏にコンガが入るので筆者がジェンベを持参して再現。

       

      ■Parallels / Yes

       今回の最難関曲か。筆者は他のイエスセッションで叩いた気もしたが譜面がないので演奏していなかったらしい。改めてきっちりコピー。イントロや歌メロ部分は普通に4/4だが、セクションが移る部分のキメや間奏はけっこう複雑な構成だ。にもかかわらず実にかっこいい。また本家スティーブハウのギターは自由に歌い回している。手癖も多いのだろう。ギターを弾いたK氏は「イエス、ハウはやっぱりすごい」と言っていた。

       

       他の演奏曲は以下。

       Lost In Hollywood / Rainbow(コージーパウエルが後にELPに加入〈ドンエイリーもコロシアムII出身〉)

       Tangled In Love / Eric Clapton(プロデューサーがフィルコリンズ)

       Epitaph / King Crimson

       Only Time Will Tell / Asia

       I Saw The Light / Todd Rundgren

       Don't Look Back / Bostonは表明者が怪我で欠席のため残念ながら演奏せず

       

       難曲ぞろいだったがその分全員が精度高く仕込んできたので、全体に叩くのも聴くのも満足度が高かった。終演後はカラオケボックスのプロジェクタールームで今日の動画を見ながら打ち上げ。今回が50回目でS氏が過去動画を編集したスペシャルムービーも披露。スタジオと同じビルにアニメショップ「animate」が入っていたオチが付いたのには笑った。(command Z)[2024/02/20記]

      | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 14:27 | - | - | - | - |
      久々にクイーンセッション
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         12月9日、旧知のセッションバーで久々にクイーンセッションが開催されたので参加してきた。

         幹事J氏は北海道在住で自身はほとんど演奏しない(少し歌うくらい)にもかかわらず、時々東京でセッションを主催している希有な人だ。今回は最初にクイーンのコピーバンドのミニライブ、その後にセッションの変則的な構成。

         

         当日。まずは近所のスタジオへ。コロナ以降ドラムを叩く機会が減っているので、個人練習を2時間予約しておいたのだ。

         早めに会場に着くと入口前に数人が並んでいた。察するにクイーン歴の長そうな人たちだが見慣れない顔が多いので少し話すと、主にコピバンのライブが目当ての人たちだったようで、中にはセッションの開催自体を知らない人もいて笑ってしまった。それにしてもこうやって初めて会う人たちがまだいるとは、さすがにファンの裾野が広いバンドだ。

         開場したので店内へ。まずは店主から製作を依頼されていたプラモデルを壊さないうちに渡してしまう(詳細は次回執筆予定)。受付を済ませさっそく生ビールとカレーを注文。セッションで筆者は出番が多いので、ドリンクはともかく「食事」はミニライブの間にあらかた済ませておきたい。

         このコピバンは以前にも見たと思うが、その後メンバーが代わり、また実績を積んだらしく、なかなかの出来で、盛り上がりのうちに終了した。筆者はリーダーのR氏を15年くらい前、彼がフレディ・マーキュリーのコスプレだけをして、やはりこの店でのクイーンセッションに現れた頃から知っているので感慨深い。

         機材の入れ換え兼休憩を挟んで、いよいよセッション。筆者がドラムを叩いたのは以下の8曲。ほぼ王道のナンバーで、いずれも過去に叩いたことがあるものばかりだ。

         

        ■We Will Rock You (Fast)

         オープニングの定番曲で、やはり盛り上がる。

         

        ■Great King Rat

         ややマニアックな曲だが筆者は好きなので、ダメモトで「表明」したらロン(演奏者がそろって成立=演奏決定)してしまった。真っ先に「便乗」してくれたボーカルのF氏とは初対面だったが、その辺りの話がはずむはずむ。任意の長さでブレイクが入る箇所は、筆者がめっちゃわかりやすく次の入りを主導した。原曲を正確にコピーするだけでなく、セッションではこういうことが大事だ。

         

        ■Play The Game

        ■Somebody To Love

         テンポがゆっくりな曲はハシるとかっこ悪いので、そうならないようきっちり叩く。この曲に限らずピアノのほとんどはコピバンのピアニストが弾いたが、若いのに曲自体やドラムと合わせるポイントをよく把握していたのでやりやすかった。

         

        ■Brighton Rock

         この曲は逆に勢いが大事だ。キメ、特にギターと合わせる箇所も多いが、弾いたのが店長で以前にもこの曲で共演しており、破綻なく完奏できた。

         

        ■Bohemian Rhapsody

         最初と最後はゆっくりきっちり、中間部後のハードロック部分は盛り上げて叩く。

         

        ■We Will Rock You (slow)

         ♪ドンドンパッ、ドンドンパッ(笑)

         

        ■We Are The Champions

         事前の掲示板では筆者が叩くことに決まっていたが、セッション途中でリスナー参加者が「初心者でこの曲しか叩けないんですけど、よかったら叩かせてもらえませんか」と言ってきたので快諾した…が、その人は筆者の演奏を見て怖じ気づいてしまい「やっぱりいいです、叩いてください」と。完成度に関しては緩いセッションだしせっかくなので、筆者が「じゃあ1番だけ叩いてもらって交代しましょう」と提案(それが可能な曲なので)。

         叩き始めたら本当に初心者だったが(笑)(ドラムが最初に入る「ジャーン」でバスドラムが踏めていない)他の演奏者がしっかりしていて崩壊はしなかった。どこで1番が終わるのかも把握できていなかったが、筆者が促して交代し無事に完奏。

         

        (command Z)[2023/12/18記]

        | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 21:42 | - | - | - | - |
        ゴジラ-1.0(ネタバレ注意)
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           11月8日、映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」を見てきた。ゴジラ生誕70周年記念作品。

           

           特撮・怪獣・ゴジラは好きで、特に「シン・ゴジラ」は劇場で18回見た。しかし本作について事前に考えたのは、「1回は見ると思うけど、監督が山崎貴だから、変な方向に行ってる可能性もあると思ってあんまり期待してないんだよねー」…であった。

          「ALWAYS 三丁目の夕日」は(テレビで見ただけだが)面白かった。「寄生獣」は評価が高い。「SPACE BATTLESHIP ヤマト」も(これは劇場で見た)多くの制約があっただろう中よくできていた。テレビアニメ本放送からのヤマトファンである筆者が見ても、だ。特に黒木メイサ演じる森雪のキャラクターは、筆者にはアニメシリーズの雪より魅力的だった。

           しかし、である。百田尚樹原作「永遠の0」を撮っちゃったのだ。詳細は省略するが筆者は見るはずもない。本作の時代設定が終戦直後で監督は山崎と発表されたときに、筆者は「(戦争や自己犠牲を肯定や美化するような)変な、嫌〜な方向に行っていなければいいが」と考えた。戦争で日本が何をやったかという話はどうしても入ってくると思ったのだ。筆者をよく知る知人にも「なるほどそれでcommand Zさんは反応がイマイチだったのか」と納得された。

           

           俳優陣は強力だ。主役の神木隆之介&浜辺美波は朝ドラ「らんまん」コンビじゃんと思ったら、ゴジラの方が話が先にあったそうだ。浜辺は「シン・仮面ライダー」に続いての特撮主演。バイプレーヤーでは谷口翔太がシンゴジに続いての出演(ちなみに永遠の0にも出ていて3作とも軍人役)。安藤サクラ、青木崇高、佐々木蔵之介、吉岡秀隆らが脇を固める。

           公開週は旅行で見に行けないし、シンカメへの評が的を射ていたYouTubeチャンネル「無限まやかし」で取り上げられるだろうから(現時点までなし)参考にしてから見に行くか決めてもいいと考えた。

           公開直後にはTwitter(現X)で「ゴジラ-1.0は自己犠牲礼賛映画にならなかったのが本当によかった」と言ってる人がいたから大丈夫そうだ。果たして。

           

           結論として、シンゴジほどではないが普通に面白かった。パンフで監督も語っているがシンゴジとは違う路線を取っていた。

          ・人間ドラマに重点

          ・当然だがSFXは良くできている

          ・歴代シリーズ(特にシンゴジ)で描かれた、ゴジラを生物学的に分析する描写はほぼない(放射能との関連は描かれるが言葉では説明されない)。意図的に入れなかったのだろう

          ・シンゴジやGMK(「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」)へのオマージュが散見

          ・公開直後に見た大槻ケンヂは「ゴジラ史上一番怖い」と言っていたそうだがその通り。特に冒頭の身長15mのゴジラの襲来シーン。以前からの筆者の持論だが、平成以降のゴジラは大きすぎて、災害としては恐ろしいが、生物として怖いのは「ジュラシック・パーク」のTレックス(人間と目が合う大きさ)なのだ。

          ・田中美央が初期シリーズに出てきそうないい雰囲気

           

           事前の心配は杞憂に終わった。むしろ「この国は人の命を大事にしない」「報道統制はいつものこと」(大意)など批判的だった。

           その時点では「監督は基本的に技術の人でRでもLでも請われれば撮っちゃう人なのでは」と思ったが、Twitterには「大日本帝国は間違っていたと断じている」「監督による百田との決別宣言」「永遠の0でも(中略)特攻と軍上層部への怒りは胸に迫った。監督の意思だろう」といった、筆者より詳しい人たちの踏み込んだ発言があり安心した。本作中の台詞ではないが、永遠の0では貧乏くじを引かされたのかもしれない。

           

          「この国はまだまだやれる。そう感じるよ」(シンゴジより矢口副長官の台詞)

          (敬称略。command Z)[2023/12/04記]

          | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 17:19 | - | - | - | - |
          シシド・カフカ
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             シシド・カフカのワンマンライブ「11」を聴きに行った(10月13日、Spotify O-WEST)。

             

             シシドを最初に知ったのは2013年グリコプリッツのCM。ドラムを叩きながらボーカルも取っている。「誰?かっこいい!」と思いすぐにネットで検索した。メキシコ生まれアルゼンチン育ち、ドラムを始めたきっかけなどの経歴が興味深かった。

             オリジナル曲も良いが山口百恵のカバーもかっこいい。ドラマーではジョン・ボーナムが好きなのか、いいじゃないか!

             

             見た目がかっこいいから聴いてみようと思ったミュージシャンは中学時代のKISS以来である。

             普段から「男or女だから」という偏見や先入観は持たないつもりだが、シシドの場合そんな心配は不要な性別を超越したかっこよさがある。端正な顔立ち、すらりとした長身、黒いストレートの超ロングヘアーを振り乱して叩く姿。

             そしてすでに指摘されていることだが、おそらく自分のルックスをよくわかっており最大限に生かして見せるようドラムをセッティングする。つまり正面にタムを置かないのだ。

             

             名前も印象的だ。シシドは本名の宍戸だが、カフカは作家フランツ・カフカではなく、チェコ語でコクマルガラスの意。 

             姓・名ともに同じ音×2+違う音×1で構成されている実に音楽的な名前でもある。しかもシシドは音名(BBC)でハ長調では解決に向かう音形だ。

             

             と言って筆者はものすごく熱心なファンというわけではない。それなりに聴いて、女優業も始めたのでそれなりに見て、パーソナリティを務める番組も見て、Twitter(現X)をフォローして…といったところだ。最近はシシドが率いる「el tempo」というハンドサインを用いた即興音楽集団の活動も始め、それにも関心を持った。

             Twitterで久々のワンマンライブが告知され「一度は見ておかねば」と思った次第である。

             

             ライブ当日。平日だったので開演少し前に会場に着く。元はON AIR WESTといったが久しぶりに来た。オールスタンディングでほぼ満席。ステージ中央前方に白いドラムセット(スネアも白いので木胴だ)、上手手前にギター、奥にキーボード、下手にベースが設置されている。今回のオフィシャルグッズのTシャツが、それこそKISSがモチーフということもあり、ドリンクはジンをロックで注文。

             場内が暗転しバンドメンバーに続いてシシド登場。逆光に浮かび上がるシルエットがすでにかっこいい。演奏が始まりシシドの一挙手一投足に目と耳を奪われる。ハードなプレイ。曲前のカウントのハイハット4つがデカいのとエンディングでジャーンとやった後にバスドラを余って踏むのが実にロックだ。

             

             フロアタムを右手側にも置き(左が18"、右が16"?)曲によってはそれを生かしたいわゆるジャングルビートも叩く。意外にポップな曲調が多く、それに合わせてハイハットは裏打ちが多い印象。音響は申し分なくタイコ類の木の鳴りやスネアのスナッピーをよく拾っている。

             歌はわりと最近の女性ロックボーカリストにあるような声質だが、よく通るし叩きながらでもブレがない。

            「11年目なので原点回帰して前日に切った」そうで、デビュー当初同様に前髪パッツンのロング。衣装はトップがオレンジからマゼンタへのグラデ、ボトムが黒で、ハロウィンを意識したのかな。

             

             途中バラード2曲ではドラムを離れハンドマイクで歌う(インカムを付けたまま 笑)。テンポの良いステージングでアンコールまで約90分のライブだったが満足。「入り口の花は捨てられてしまうので持って帰って」のMCが印象に残った。

             ドラムも歌も一流だが「超絶」ではない。しかしそれを同時にこなして独自のスタイルを作ったのが素晴らしい。

             終演後、音楽仲間にばったり会い老舗のロックバーで飲んで音楽を語った。(command Z)[2023/10/17記]

            | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 16:20 | - | - | - | - |
            風邪と幻のセッション
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               8月11日、年2回程度開催しているロックセッションに参加する予定だったが、前日の10日夜から風邪の症状。喉がいがらっぽく少し痛み咳も出る。熱は36.4度の平熱で味覚も正常。

               コロナは1年前にかかったが複数回の感染はあり得るし、コロナにしろ風邪にしろ広さや換気の面で条件の悪いスタジオで他のメンバーにうつしてはいけない。仕方なくネット掲示板に欠席する旨を書き込んだ。

               幸いメンバーはベテランぞろいで、筆者がドラムを叩く予定だった曲も特に難曲はない。急きょ幹事と他のドラマーが筆者予定曲の分担を決めてくれた。3連休で他には特に予定もないのでありがたく休ませてもらう。

               

               先に風邪の話を書く。翌11日朝も平熱。祝日で近所のかかりつけ医は閉まっていたが、自転車で約10分の病院が区の休日急病当番医に指定されており電話予約して行った。行く前には36.9度あったが、病院で測ったら36.5度。コロナとインフルエンザの検査は陰性。ということで感冒と診断され、喉と咳の薬を処方されて帰った。以後治るまで3連休はほぼ寝て過ごす。

               そうしたらその後、熱がどんどん上がり、12日朝には39.1度に達した。しかし家にあった解熱剤を飲んだらてきめんに効き夕方には平熱まで下がる。以後はほぼ上がらず、14日から普通に仕事した。

               

               今回のセッションの縛り(お題)は「ソロアーティストなら故人、バンドならメンバーに故人がいる」。しかしセッションメンバーは全員が50代以上なので、よく聴いていたアーティスト、特にバンドはたいてい誰かが亡くなっている。筆者が好きなエマーソン・レイク&パウエルなどは全員が故人だ。なので選択の幅は広い。筆者が叩く予定だったのは以下5曲。

               

              ■Animate / Rush

               これは筆者が「表明」した。Rushでも後期の曲で変拍子などはなく、かっこいいハードロックナンバー。一転、中間部は「間」を生かした曲調に変わってエスニックなパターンのタムが聴かれ、筆者はこのためにアービターフラッツのタム3個を持ち込む予定だった。しかしこの曲の一番の肝はヘヴィなパターンでもタムでもなく、冒頭のスネアのフィルイン「タタッッタタタタ」をライブ版では最後に再現していることなのだ。次回の縛りはプログレになりそうだし「ぜひリベンジを」と言ってくれたのでそうしよう。

               

              ■Superstition / Beck, Bogert & Appice

               邦題「迷信」でも知られている。作者はスティーヴィー・ワンダー。今回改めて指定されたライブバージョンを聴いたら、KISS「Love Gun」キメのパターンは本曲冒頭のフィルインだなきっと(その後にカーマイン・アピスはKISSのポール・スタンレーのソロアルバムに参加した)。

               

              ■東風(Tong Poo) / Yellow Magic Orchestra

               このセッションは基本的に表明者以外の演奏メンバーは幹事が采配するが、希望を出すことも認められておりこのドラムは筆者が希望した。そしてふと、1980年前後に何台か購入して最近は長らく使っていないシンセドラムを使おうと思い立った。しかしどこにしまったっけ。見つかったとしても動くのか?

               改めて曲を聴くと(指定されたライブ「Public Pressure」バージョン)最低限必要なのは2台。うち1台は叩いた後に音高が上がるピッチベンドが必須で、これができるのは所持している中で1台だけだ。幸いその1台と他に2台が発掘できた。以前調べたヴィンテージシンセの修理業者に連絡を取って持ち込んだ。上がる1台は修理完了、1台は修理不能、もう1台は本稿執筆時点でまだ修理中だ(なのでセッションに参加できていたら、下り番の人に曲途中で音色の切り替えを頼もうと考えていた)。

               

              ■ダーリン・ミシン / RCサクセション

              ■Rockin' Down The Highway / The Doobie Brothers

               この2曲はシンプルなパターンで、何と言うか普通に叩けばよい(笑)。(command Z)[2023/08/30記]

              | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 20:37 | - | - | - | - |
              山に泊まりがけで観劇
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                 8月5・6日、埼玉の吾野に泊まりがけで劇団「もぬけのから」公演を見に行った。当ブログにも何度か登場した「平原演劇祭」常連俳優の一人が主催する劇団で出演俳優の多くも平原の常連だ。

                 

                 池袋から西武線(6000系急行)。開演は14時30分。飯能に1時間滞在できる行程を組み昼食は中華を食べることにした。例によって「隙あらば町中華」である。駅から徒歩10分の「ぴいたん」という店が良さそうだ。天気は良く、ということは猛暑だが県道を南下して歩く。集合住宅の1階に雰囲気のある店構えが見えた。

                 カウンタの一番手前に座る。テーブルも1卓あるがなぜか大量の名刺で埋まっている(来客のもの?)。他に座敷が6席×2卓。客は筆者の他に数人組とカウンタの一番奥に1人(店主と話していたので常連か)。

                 回鍋肉定食・ミニラーメン・小生ビールを頼む。メニューは中華の他にハゼの唐揚げなどつまみも充実している。しかしピータンはない(笑)。料理は十分に美味しくデザートに杏仁豆腐とスイカも付いてきた。

                 店主に軽く話を聞く。ちょうど開業20年目とのこと。吾野に行くと言ったら「吾野も暑いよ(笑)」と言われた。再び駅へ。

                 

                 飯能からは4000系。程なく吾野着。初めて下車する駅だ。駅舎から道路までは急な下り階段。10分弱歩いて公演会場そして今夜の宿でもある「ゲストハウス吾野宿」着。

                 すでに人が集まっている。「こんにちは」と声をかけられ、一瞬誰だかわからなかったが主催者だった。女優だが頭を丸坊主にして丸眼鏡をかけている。そうだ演目は「ドグラ・マグラ」(を再構成した「異界覗きジゴク博覧会」)、彼女は正木博士を演じるのだ。しばしカフェで涼む。

                 ドグラ・マグラは夢野久作の代表作・探偵小説で日本三大奇書の一である。筆者は子どもの頃からミステリが好きで高校時には題名だけ知っていたが、1988年に映画化され、観に行く前に小説も読んだのだった。また2002年に知人らが自主制作映画を作り筆者も精神病患者の端役で出演したが、映画を演技の参考にした。

                 

                 建物は幕末の武家屋敷を明治時代に移築し現在は県の景観重要建造物に指定。公演会場は蔵の2階だ。開場したので筆者たち観客12人は入場。多少は涼しいが冷房はなく麦茶と塩分タブレットが配られる。

                 舞台には電子キーボード、エレキギターとエフェクターボードがセットされている。程なく開演し、まずは歌唱兼キーボーディストとギタリストによる演奏。続いて演劇本編が始まる。本来は長編なのをうまくコンパクトにまとめている。途中休憩では主催者が落語を披露(多才だ)。後半は舞台を屋外(中庭)に移し、半裸になった女優にボディペインティング、木刀でスイカを割るなど過激な演出。お疲れ様でした。面白かった。

                 

                 宿泊組が残り、順次入浴。夕食はジビエ(鹿肉)カレーを食べて酒も飲み、筆者はギタリスト氏(本来はボーカルだそう)と音楽談義で盛り上がる。さらに第2部と称する「出し物」。これは1コマ500〜1000円程度で女優たちが短い芝居・朗読・その他特技を披露するというもの。筆者は足のマッサージと芝居の裏話をお願いした。就寝。

                 

                 翌朝は朝食後に宿主人の案内で付近を散策。他の景観重要建造物を見たり高麗川の河原に下りたり。宿に戻って解散し筆者は再び飯能へ。今日も町中華だ。「こんぱる」へ。メニューは庶民的だが内装は高級店並み。まずは生ビール。ぴーたんで食べられなかったピータンには、ネギではなく刻んだ酢漬けラッキョウが添えられ、初めてだったがこれは合う。続いて紹興酒をロックで。ジャージャー麺は肉味噌の量が過去最高。店名は能楽の金春流に因むが詳しくは不明。満足して帰途に就いた。(command Z)[2023/08/17記]

                | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 16:26 | - | - | - | - |
                XAIのライブを聴きに行く
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                   7月26日、XAI(サイ)初のワンマンライブ「TO THE MOTHERSHIP.」を聴きに行った(@渋谷WWW)。プロのライブを聴くのは久しぶりだ。

                  「好きなボーカリスト10人」に書いたが、東宝シンデレラオーディションの初代アーティスト賞、アニメ版「GODZILLA」3部作全てのエンディングテーマを歌った。筆者は最初の「WHITE OUT」を劇場で聴いて以来のファンだ。デビュー7年目で初のワンマンが実現。ぴあでチケットを買うのも久々だ。

                   

                   当日は早めに会場のWWWに着いた。以前は映画館「シネマライズ」だった場所で、筆者も多くの映画を見た。列に並んでチケット番号順に入場。ワンドリンクが付き筆者はジントニックを。元が映画館なので客席の傾斜が急で見やすい。調べたら「国内最高レベルの音響、照明、映像設備」だそうだ。観客は20代男性が多く、女性は全体の1割くらいか。

                   バンドとしてG:亀本寛貴 (GLIM SPANKY)、B:早川知輝(DATS)、Ds:大井一彌(DATS, yahyel)が演奏すると事前に告知されており、ステージに楽器がセットされている。ドラムは詳細まではわからなかったが、ワンバス・ワンタム・ワンフロアの一般的なセッティング。亀本は普段はレスポールを弾くようだが、この日はストラト系が置かれアコギもある。ベースはオーソドックスなシェイプで5弦。

                   

                   BGMが鳴り止むと客電が落ち、下手からまずバンドメンバー3人、最後にXAIが現れて開演。オープニングナンバーは「THE SKY FALLS」! 「これで始まったら盛り上がるだろうな」と期待していたがキター! 筆者が思い入れのあるロック調の曲でいきなりフルスロットル。続いてさらにアップテンポの「SILENT BIRD」で畳み掛ける。3曲目もロック調の「ジンクス」。

                   ピアノやシンセ、打ち込みのパーカッション等は音源を流し、少なくとも大井とXAIは(あるいは全員が)クリックを聴いて合わせているよう。生演奏パートは原曲に忠実な部分に加え、ここぞという場面ではアドリブも随所に飛び出しライブならではのダイナミズムを感じさせる。

                   最初のMCはこのあたりだったか。大井と早川がいったんハケ、亀本はアコギに持ち替えて「Before I Rise」続いて澤野弘之のカバー「EGO」をしっとりと歌う。

                   

                   大井と早川がステージに戻り聴こえてきたピアノのイントロは「live and die」。アニゴジ3部作の最後を飾りXAI自身が初めて作詞を手掛けた壮大なナンバーだ。静から動へ移る箇所ではドラムが重要な役割を果たすが大井のプレイは的確だ。

                   ロック調の「Waves」ポップな「Feeling Alive」XAIが思い入れ深いというバラード「はじまりのうた」と続く。

                   とにかく歌が上手いし、声量もある。筆者は声質のコントロール=表現の幅が素晴らしいと思っていたが、ライブでは声色をスタジオ版ほど極端には使い分けない。しかし平板ということはまったくなく、意図的に「ライブで映える・通る声」を狙っているようだ。ますます実力を感じる。もっと早くにワンマンが実現してよかったし、ぶっちゃけもっと売れていいアーティストだと思う。

                   

                   ここで今度はバンドが3人ともハケ、打ち込みのみをバックに1人で「Let me free」「Sleep」を歌う。三たびバンドが登場し、元気でにぎやかな「LOVE&JOY」そして本編ラストにデビュー曲「WHITE OUT」を持ってきた(これは予想していた)。エレクトロニカ色の強い曲だがバンド演奏も良い。

                   アンコールでは全員がオフィシャルグッズのTシャツに着替え、まずはアコギとのデュオで「贅沢な感情」最後はロック調の新曲(曲名不明)で締め括った。

                   

                   まだ持ち曲が少ないのでアンコール含めて約90分のライブだったが十分に満足。出口でXAI本人のお見送りを受けて帰途に就いた。次は今回披露されなかった「Somewhere in Night」「エバーグリーン」も聴いてみたい。(敬称略。command Z)[2023/08/09記]

                  | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 13:39 | - | - | - | - |
                  好きなドラマー10人・邦楽編
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                    「洋楽編」を書いてから3年以上経ってしまった。その間に以下の3人(ユキヒロ、ポンタ、新美)が亡くなってしまったなあ。

                     

                    ■高橋ユキヒロ(幸宏) 主な在籍バンド(以下同):サディスティック・ミカ・バンド、YMO、ザ・ビートニクス

                     筆者が好きなバンドベスト3の1であるYMOを、ドラムはもちろんボーカル・作曲・ファッション等でも支えた。細野晴臣と坂本龍一の間でバランスを取っていたとも聞く。ミカバンド「黒船」での技巧的なプレイや、ややセンチメンタルなソロ作も良い。受けた影響はジャストに叩く・クリックに合わせて叩く・スネアだけでのフィルイン・機材がTAMAなど。

                     

                    ■山木秀夫:マライア、KAZUMI BAND、R.H.M

                     超絶技巧・超変拍子を駆使したプログレからジャズ・フュージョン、HR、井上陽水・中島みゆき・福山雅治等、歌物のバックまで何でも叩ける。筆者が観た井上鑑のライブでは、ビル・ブルーフォードとのツインドラム。一度お会いしたが明るく陽気な人であった。

                     

                    ■そうる透:ダディ竹千代&東京おとぼけCATS、SENSE OF WONDER、外道

                     この人もHR、プログレ、歌物(現在は天童よしみのツアーメンバー)、吹奏楽の模範演奏まで何でも叩ける。タムやシンバル等の楽器点数も手数足数も多いのに楽曲を邪魔しない。筆者はダディ氏の店のセッションで何度かツインドラムを叩かせてもらった。顔とプレイを覚えられた後はCOMPLEXの曲(原曲は多重録音)で「ハイハットをお願い。僕はシモンズのタムを叩くから」と光栄にもパートを分担してもらった。

                     

                    ■村上ポンタ秀一:KYLYN BAND、MOBO 3、PONTA BOX

                     亡くなったときに「日本を代表するドラマー」と言われ、別に代表はしてないよなあ(笑)と思ったものだが、言われるのもわからなくはない。さらに何でも「宇宙戦艦ヤマト」まで叩いた人。筆者は渡辺香津美との絡みが好きでよく聴いた。ベテランの域に達してからは雑誌等での発言が豪快で面白かった。

                     

                    ■シシドカフカ

                     KISS以来38年ぶりに「見た目がかっこよくて聴いてみた」アーティスト。そのグリコプリッツのCMからもう10年か。モデルや女優としても活動中。10月のワンマンライブには初めて行ってみようと思う。

                     

                    ■鈴木リカ徹:プリズム、SENSE OF WONDER

                     SOWでそうるの後任。ロック!なそうるよりは比較的「柔」な印象のドラム。SOWはこの時期に精力的にライブを行いよく聴きに行った。会場は渋谷の今はなきLIVE INNが多かったな。

                     

                    ■藤田勉:PERSONZ

                    ■上領亘:グラスバレー、P-MODEL

                     この2人は実は音源もライブもあまり聴いていないが、雑誌等でセットの写真を見ただけで「聴いたらきっとプレイも好きであろう」ドラマーになった。両者共にロートタムやエフェクトシンバルを組み込んだパーカッシブで独特なセットだ。PERSONZは今後バンドでコピーすることになりそうなので楽しみ。

                     

                    ■ライデン湯沢(雷電湯澤):聖飢魔II

                     LOUDNESS、VOW WOW、聖飢魔IIといったHR/HMバンドはツーバスを導入してもおかしくないのにワンバスにこだわるところが興味深い。聖飢魔IIはベースも一貫してピックではなく指弾きだ(曲によってはスラップ奏法も用い、本人いや本悪魔曰く「単なるメタル馬鹿ではない」ことが見て取れる)。湯沢はレッド・ツェッペリン、ジョン・ボーナムのフリークでもある。筆者は聖飢魔IIのコピバンも組んでみたいが実現しておらず、セッションで数曲を叩いたくらいだ。

                     

                    ■新美俊宏:BOW WOW、VOW WOW

                     長年バンドを堅実なプレイで支えた。フュージョンドラマーのようにタムをずらっと並べた多点セットが特徴。

                     

                     次点は、藤井章司(スモーキー・メディスン、一風堂、ナスカ)、茂木欣一(フィッシュマンズ、東京スカパラダイスオーケストラ)、トミー・シュナイダー(ゴダイゴ)。(敬称略、command Z)[2023/07/14記]

                    | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 21:13 | - | - | - | - |
                    VOW WOWの10曲
                    0

                       前回に書こうと思ったが、他に書くことが多く入り切らなかったので、改めて。

                       

                      ■Beat Of Metal Motion

                       1stアルバムのラストを飾る。スタジオ版は分厚いコーラス(アカペラ)で始まる。ライブではドラムからスタート。ストレートな曲調、シンプルな構成の中に、メンバーも音楽性もバンド名の綴りも変えて、新たにスタートを切る決意表明のようなものが感じられる。クリス・モズデル作詞/山本恭司作曲。「Beat Of Metal Motion」収録。

                       

                      ■Hurricane

                       短いインストゥルメンタルナンバー「Premonition」を導入として、2ndアルバムの冒頭を飾る。彼らの代表曲と言っていいだろう。変則的な譜割りのイントロに続く、強力なギターリフとボーカル、トリッキーでスリリングなギターとモノフォニックシンセサイザー(ミニムーグ)のソロ、起承転結のあるドラマティックな展開と、バンドの魅力が詰まっている。BPMこそそれほど速いわけではないが、疾走感にあふれたナンバーだ。ジョナ・パシュビー/山本。

                       

                      ■Love Walks

                       物悲しいギターのアルペジオで静かに始まり、一転して激しくヘヴィな展開に。間を生かし、静と動の対比が見事だ。ギターソロのスケール選びも的確。パシュビー/山本。以上「Cyclone」収録。

                       

                      ■Shot In The Dark

                       緊迫感にあふれたシンセリフでいきなり始まるファストナンバー。筆者は世界最高のキーボードリフだと思っている。息もつかせない怒濤の展開で3分49秒を駆け抜ける。これの間奏もモノシンセとギターだが、山本が作曲したHurricaneではギターが先、厚見作の本曲ではシンセが先と、作曲者自身が先に弾いて相手に譲るのが面白い。パシュビー/厚見玲衣。

                       

                      ■Doncha Wanna Cum (Hanger 15)

                       ギターリフを中心に作られたシンプルなシャッフルナンバー。「III」にはもう1曲のシャッフル、ややしっとりした「Nightless City」も入っていてそちらも捨て難い。パシュビー/山本。

                       

                      ■Signs Of The Times

                       スケール感の大きいシンセリフで始まる、どっしりとしたミディアムテンポのナンバー。パシュビー/厚見。以上「VOW WOW III」収録。

                       

                      ■Cry No More

                       前作「III」にも優れたバラード2曲が入っていたが、こちらも素晴らしい。アコースティックピアノで始まり、ギターソロの前半にはアコースティックシミュレーターを使用していると思われる。音楽雑誌だったかで「(ギターが泣くという表現はよくあるが)この曲ではドラムが泣いている」(大意)と評されていたが、名言。ジョン・ピアソン/山本。

                       

                      ■Born To Die

                       不穏な雰囲気がたっぷり、スローな6/8拍子のヘヴィなナンバー。間奏とエンディングの両方にギターソロがあるが、山本のギターは曲調に合わせた、速弾きよりもアーミング等を多用したエフェクティブなプレイで、曲の終わり際には狂気する感じる。ニール・マーレイ/山本。以上「V」収録。

                       

                      ■You're The One For Me

                       速いシャッフルナンバー。厚見が作ったデモ音源に残っていた打ち込みのベースを、面白いからとそのまま本テイクに生かしたそう。キーボードは曲の大部分をシンセブラスで構成しているのに、間奏ではあえてジョン・ロードばりのベタなオルガンでソロを取っているのが、ユーモアとセンスを感じる。マーレイ/厚見。「VIBe」収録。

                       

                      ■Mountain Top

                       最終作となった同名アルバムのオープニングナンバー。フランジャーをかけたギターと銅鑼を混ぜたようなSEに続く、山本の東洋的なフレーズが印象的。盛り上がった後は、Led Zeppelin「Kashmir」を彷彿させる壮大な曲調に。厚見のメロトロンのストリングス的な音色も効果的だ。デイビット・エズリン/山本。「Mountain Top」収録。

                       

                       他にも泣く泣く落とした名曲がごろごろある。そのうち「Don't Leave Me Now」は、筆者が参加する来月のセッションに、新美俊宏に追悼の意を表して表明し、無事に成立したので、心を込めて叩いてこよう。(敬称略。command Z)[2023/06/20記]

                      | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 18:55 | - | - | - | - |
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