語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

彗星怪獣ドラコ
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    彗星怪獣ドラコ

     

     当初は「怪獣10傑」を書こうとしたが、これまでと違い、自分の中で一般的な観点と、より個人的な嗜好とに少しずれがあると自覚した。一般的観点でベスト10を選べば、ゴジラ・ガメラ・キングギドラ・ガイガン・レッドキング・ゴモラ・バルタン星人・ゼットン・キングジョー・ベムスターといったところで、筆者の世代であれば大方納得してもらえるラインナップだろう。

     筆者はこれらの怪獣ももちろん好きだが、一般的評価とはやや別のところで好きな一群がいる。ドラコ・グドン・ガイガン(上記)・バキシム(本ブログ「オレンジ色」に登場)といった面々だ。何についても最終的には「好き」に明確な理由はないことが多いが、怪獣に関しては、強い弱い・武器・劇中での役回りなどもありつつ、造形によるところが大きい。

     筆頭はウルトラマン第25話「怪彗星ツイフォン」に登場した、彗星怪獣ドラコである。この回は、巨大な彗星が地球に接近するSF的設定、怪獣が3体も登場し(ギガス・レッドキング)、3体ともモノトーンに近い色調で、雪の日本アルプスを舞台に戦う絵的な美しさなど、筆者が初代マンで最も好きな回でもある。

     他の2体は地球怪獣だが、ドラコはツイフォンから飛来した宇宙怪獣だ。基本的なフォルムは2足歩行・前後に長い頭部・長い尾という、ゴジラ等と同じオーソドックスなものだが、口先や角は鋭角的で全体にシャープな印象。地球の生物で言えばほぼ爬虫類に見えるが、手の先は鎌状、足にも指はなく、手足の他に背に1対の、昆虫を想起させる透明な翼があり、ここだけは鮮やかな赤い紋様。「王道感」と「異形感」が絶妙なバランスで融合し(←筆者が好きなのはここ)「外来種」であることを印象づける。全身の皮膚は黒いタイル状に白い筋が入り、シックで個性的(エレキングやダダの模様はシャツやスニーカーになっており、ドラコもぜひ商品化してほしい)。

     先の4体を並べると共通点が見えてくる。

    a)基本的にはオーソドックスなフォルム

    b)体の各部が鋭角的に尖っている

    c)手足に爬虫類や哺乳類のような指がない。手についてドラコは鎌(1)、グドンは鞭、ガイガンは鉤爪状、バキシムはケラ等の昆虫に似る

    d)ドラコを除き、目は白目黒目の区別がなく、半透明で光っている(2)。グドンとガイガンは赤、バキシムは青色

    e)ドラコとガイガンは背に翼がある

    f)cdeに関連して、体の一部に昆虫的な要素を持つ。ドラコは翼、グドンは触角や皮膚、ガイガンはクワガタ様の牙、バキシムは手足や体節

     cdefは異形=外来種感につながるが、実際、グドン(地底怪獣)以外の、ドラコとガイガンは宇宙、バキシムは異次元からやって来た。fはレギオンについての樋口真嗣特撮監督の発言「宇宙怪獣は外骨格!」にも通じる。

     ガイガンについてデザインの水氣隆義は「成田亨によるウルトラ怪獣のような統一性あるデザインを目指した」そうで、おそらくドラコも念頭にあっただろう。ガイガンは腹部の回転鋸などサイボーグである点に目が行きがちだが、目(単眼)と翼(3枚)の数が奇数なのも、地球とは別の進化系統上にいることを象徴的に表していると思う。

     3026年にはツイフォンが再来するので、ドラコの別個体が現れるかもしれない。(command Z

     

    1)当初の着ぐるみは右手が鞭状だった。そのまま本編に登場していればさらに異形感が増したであろう。

    2)初代マンの登場怪獣で、宇宙人等を除けば、このタイプの目はキーラだけだ。デザインの成田亨は「大きな目に光を入れることで今までの怪獣のイメージから一新を図った」そう。ドラコがセブンや新マンに登場していたら、あるいはこのタイプの目だったかもしれない。

    | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 11:28 | - | - | - | - |
    ドラムについて:機材編
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      ドラムについて:機材編

       

       これまでにも触れたが、筆者は趣味でドラムを叩いている。今回は所有している機材(楽器)について書いてみよう。

       前提として、自分はアマチュアで費やせるお金も時間も限られているので、こだわりすぎないということがある(これは練習時間や技術習得の面でも同様だ)。活動場所は主にライブハウスやスタジオで、自前でセットを持つ必要はほとんどない。かっこよく言えば「どんな楽器でも叩いて、自分の音にする」が信条だ。

       

      【所有している楽器】

       

      ■ドラムセット本体(タイコ類)

       アービターのフラッツドラム(20”BD,8”,10”TT,12”SD,14”FT)。シェル(胴)がほとんどなく非常に薄い。たまにセットがない場での演奏に持ち出すほか、8"と10"のタムはライブハウス等のセットに追加で組み込んで使用する(最近はキングクリムゾンのコピーバンドで多用)。

       他にタマの木胴スネアが1台。以前は中古で買ったヤマハのフルセットも持っていたが、保管場所の問題が生じ、知り合いのライブハウスに譲渡した。

       

      ■シンバル

       パイステαシリーズの12"ハイハット(ペア)・14”チャイナ、ジルジャンの8"スプラッシュ。

       

      ■ハードウエア(主にタマ)

       フットペダルはタマのスピードコブラ(ツイン)で、ここぞというときに持ち出す。スタンドはシンバル用2、HH用1、スネア用2。椅子1。小物をセットに組み込むときのクランプ類など。

       

      ■スティック

       20年以上タマのO-215Nを愛用。オーク(樫)材、径15mm、長さ406mm、ナイロンチップ。ごく標準的なモデルより若干大きめ・重めで、手の大きさ、叩く主なジャンル、耐久性、入手しやすさ、コスパの点からベスト。ナイロンチップは人工的な音色がするかと思っていたが、ジャズのシンバルレガートでも違和感なかった。

       高校時代に初めて買ったときは、どんなものが自分に合うかよくわからず、好きなドラマーである高橋ユキヒロ氏のシグネイチャーモデルを試したら、しっくり来るように思えたので購入。その後、近いモデル数種を経てO-215Nに至る。

       

      ■アコースティック小物(セットに組み込むもの)

       カウベル、HHに装着するタンバリン、樹脂製ブロック、ウインドチャイムなど。

       

      ■電子楽器(デジタルパーカッション)

       ローランドのSPD-8、BOSSのDRP-1・2・3・BP-1(各2)、アムデックのPCK-100・HCK-100、BIAS BS-1・2(各2)。BS-1のうち1台はもともとユキヒロ氏が買う予定だったが、新型のBS-2が出て氏はそちらを買ったので店に残っていたいわく付きのもの。塗装が市販品と異なり、紙箱に「高橋様」と書かれている。

       

       ライブやスタジオに持参するのは、スティック、チューニングキー(タマ)、布ガムテープ(ツインペダルの左足側を固定。必要に応じてタイコ打面のミュートにも。スピードコブラに合わせて銀色を使用。客席からはまったく見えないが(笑)ちょっとしたこだわり)、楽譜(あれば指定のもの、多くは自分で耳コピした構成譜)、タオル、ドリンクが基本。必要に応じてヘッドセットマイク(SHUREのWH20XLR)、セットに組み込む小物。

       

      【夢(妄想)のセット】

       条件が整えば買いたいのは、タイコ類はタマ、シンバルはパイステの組み合わせ(ビル・ブルーフォードやスチュワート・コープランドと同じ)。構成は22"BD×2、8",10",12",14",16",18"TT(偶数インチぞろえ)で、タムはすでに製造中止だがティンプトムにしたい。色はピアノホワイト。宝くじでも当たったら、同じ構成でアクリルの透明なセットも色違いでいくつかほしい(笑)

       サブセットとして(こちらは現実的)フラッツの後継機種であるトラップドラムを新調し、ヘッドとシンバルの組み合わせを3種類くらいそろえて(ノーマル、アグレッシブ、エスニックとか)即興セッションなどに持ち出したい。(command Z

      | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 12:01 | - | - | - | - |
      In C
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        In C

         

         アメリカの作曲家テリー・ライリー(1935-)に、「In C」(イン・シー、「ハ長調で」の意)という作品がある。簡単に説明すると以下のような曲だ。

         

        ・楽譜があり、No.1〜53の短い単旋律のフレーズと、作曲者自身による演奏上の注意が示されている。

        ・何人で、どんな楽器編成で演奏してもよい。声でもよい。

        ・個々の演奏者は、それぞれのフレーズを任意の回数だけ繰り返し、次のフレーズに移る。BPMは共有する。

        ・周りの音をよく聴き、お互いのフレーズが2〜3以内に収まっているのがよい(例えば自分がNo.1のフレーズを演奏しているときに、No.4が聴こえてきたら、No.2に移るのがよい)。

        ・強弱は自由につけてよい。

        ・アンサンブルを助けるために、C(ド)の音を8分音符で刻む「パルス」を入れてもよい(「指揮者」ではない)。

        ・演奏が難しいフレーズは飛ばしてよい。適宜休んで(演奏を止めて)もよい。フレーズの番号を戻ることはしない。

        ・全員がNo.53にたどり着いたら、適宜1人ずつ抜け(演奏を終了し)、全員が演奏を止めたら終わり(およそ1時間程度の演奏になることが多い)。

         

         つまり、楽譜はあるものの、即興的な要素を含んでおり、そのつど違う演奏になるわけだ。ずれながら進行しても音楽として成立するように、巧みに計算して作曲されている。

         筆者がこの曲を知ったのは、1999年に「響きのルネッサンス 音律の太平洋 モノフォニー・コンソート」という演奏会で生演奏を聴いてのことだ。ライリー氏自身も参加し、パルスは高田みどり氏であった。

         

         その後、知人が年に1回「ゆるゆる集まってテリー・ライリー『In C』生演奏オフ会」を主催していると知り、筆者も2015年から参加している。好んで多くは野外で開催されている。筆者はいずれもパルスでの参加。もともと所有していたグラナイトブロック(大小5個セットの樹脂製ブロック)の小さい方から2番目がCの音なのでうってつけだ。

         

         2015/09/19 @そら庵(東京都江東区):深川にあった多目的スペース的なカフェ(同月30日に閉業。元は印刷工場)。このときはまず屋内で1セット演奏し、すぐそばの隅田川堤防に移動して2セット目を演奏した。

         2016/06/11 @JR鶴見線海芝浦駅(横浜市鶴見区):鉄道ファンには有名な海に面した無人駅。休日の日中は1時間以上電車が来ない時間帯があるのを利用。

         2017/09/23 @宮代町郷土資料館内旧加藤家住宅(埼玉県宮代町):200年以上前に建てられた藁葺き屋根の民家で町指定文化財。以前に当ブログ「洞窟で演劇を観る」で紹介した劇団の公演の一部として。

         2018/08/26 @海岸通ギャラリーCASO(大阪市港区):このときは別の主催者。大阪港に面した現代美術ギャラリーに、筆者が参加した中では最多の19人が参加。会場が広いので、パルスの音量はいつもより大きめに。事前に告知した上で、一般観覧者もいる中での演奏だったが、踊り出す人もいて楽しいことに。ギャラリーという会場の見た目的な面白さ・きれいさや、映像の編集もよくできているので、動画を紹介しておこう。

        https://www.youtube.com/watch?v=p_7qz8RsjJM

         

         2019/09/23 @取手緑地運動公園(茨城県取手市):利根川の河川敷にて。ドローンで空撮も。

         2020/05/02 @オンライン:当初は代々木公園等の案も出ていたが、コロナの影響で初のオンライン合奏に。通信の遅れが軽微な音楽向けアプリもあるが、実験の意味もあってあえて会議用のZOOMを使用。案の定、音が遅れたり途切れたりしてなかなかのカオスになったが(笑)実験の意義はあった。ZOOMの音量自動調整機能やノイズキャンセル機能は、オフに設定するのがいいようだ。筆者のバーチャル背景は、ピンクフロイド「PULSE」ツアーのステージセットを設定してみた。

         

         ちなみにBPM=96で1時間の演奏になった場合、パルスは1万1520回叩く計算になる。

                                                                                                                                                                       (command Z)

         

         

        | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 16:44 | - | - | - | - |
        好きな映画 オールタイムベスト10
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          好きな映画 オールタイムベスト10

           

          ■2001年宇宙の旅(1968

           筆者にとって今後も不動の1位であろう(他は順不同)。初めて見たのは高3時の再ロードショー。もともとSFは好きだったが、台詞や説明が少なく見た者に考えさせる作りで、映像・音楽が素晴らしく、後半のシュールな展開も好き。長年「ぴあテン」1位だったのもうなずける。一つ失敗したのは上映前にパンフのネタバレ(HALの読唇術)を読んでしまったこと。以来、見る予定の映画の事前情報は極力仕入れないようにしている。

          ■レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ(1976

           音楽映画1位。好きなバンド全盛期のライブを収録したこともあるが、音楽のあらゆる要素が凝縮されている。ブルーズ、ハードロック、プログレ…、メンバー4人をフィーチャーした別録りシーンはPVの先駆けだし、いまある音楽で、彼らがこの映画でやっていないのは「打ち込み」だけ。

          ■ストップ・メイキング・センス(1984

           米バンド、トーキング・ヘッズのライブを収録。スタイリッシュな作り、かつバンドや音楽の良さが伝わってくる。冒頭、デビッド・バーン1人の弾き語りから、徐々にメンバーが増えてくる演出がよい。

          ■A Y.M.O. FILM PROPAGANDA(1984

           YMO“散開”ライブと、撮り下ろしのドラマ部分が交錯。鶴見線昭和駅、根岸競馬場など、ロケ地の選定が秀逸。終盤のツアーセット炎上シーンで「終わり」を実感。台詞は一切なく、冒頭に女、最後に少年の短いナレーションが入るのみ。

          ■三大怪獣 地球最大の決戦(1964

           ゴジラ第1作をリアルタイムで見たらそちらが入ったかもしれないが、筆者の世代では叶わず。本作はゴジラ最大のライバル、キングギドラが初登場。その造形と圧倒的な強さ。

          ■ガメラ2 レギオン襲来(1996

          「ゴジラKOM感想」でも触れた、金子修介監督の「怪獣映画は、怪獣自体が大嘘だから、怪獣以外は全部本物に見えなきゃいけない」が具現化された、大人が楽しめる作品。映画初の日本SF大賞。「火力をレギオンの頭部に集中し、ガメラを援護しろ」は特撮史上に残る名台詞。

          ■シン・ゴジラ(2016

           制作発表当初はマニア向けかと思ったが、平成ガメラ3部作の路線を押し進めたリアリズム、恋愛要素等の排除、第1作のゴジラが存在しない設定(「怪獣」という言葉は使われない)、過去作へのオマージュ、緻密な伏線とその回収…等々、従来とは一線を画す、かつ第一級のエンタメ作品に。日本アカデミー賞7部門制覇。劇場で18回見た。

          ■真夏の方程式(2013

           東野圭吾作品もTVシリーズ「ガリレオ」も好きである。劇場版前作「容疑者Xの献身」も良かったが、映像の美しさや楽しさの点で、夏の海が舞台のこちらを。

          ■未知との遭遇(1977

           中学卒業式の前日にSF好きの友人たちと当時のテアトル東京で見た。ストーリーはシンプルだが、冒頭から徐々に盛り上げてクライマックスでドーンと来る。インドで「例の音」を聞いた住民たちが一斉に空を指差すシーンが好き。ド派手で巨大な宇宙船は、リアリティに欠けても楽しいからOK。ハッピーエンドなのものよい。

          ■スター・ウォーズ(1977

           高1夏休みの公開時に見た。テーマ曲冒頭の「ジャーン」を聴くと今でも高揚する。複数の星系の自然・生物・文化を創作するスケール。冒頭のファルコン号と超巨大戦艦をはじめ、登場メカも魅力的。シリーズは全作見たが、この第1作(エピソード4)と、その裏話に当たる「ローグ・ワン」が面白いかな。

           次候補はブレードランナー、ゼロ・グラビティ、六月の蛇、鉄男、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブなど。基本的にエンタメには非日常性を求めるので、ベスト10は派手で極端な作品が多くなったが、何気ない日常を描いた小品も結構見る。(command Z

          | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 21:03 | - | - | - | - |
          女子プロレスラーと飲む
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            女子プロレスラーと飲む

             

             2月23日、中野の「ぱわすぽ」で開催された「猛毒隊スペシャルイベント」に参加した。この店は、元・全日本女子プロレスの山田敏代選手が店長を務め、現役のまたは引退した女子レスラーを招いたイベントを頻繁に開催している。

             この日は当初、元・FMWのヒールユニット「猛毒隊」のシャーク土屋、クラッシャー前泊の両選手が参加予定だったが、急きょ、同じく元猛毒隊で筆者がファンであるバッドナース中村選手も大阪から駆け付けることになり、中村選手のSNSで知った筆者も参加を決めたしだい(途中から元猛毒隊の里美和選手も来店、スタッフ側には元LLPWのキャロル美鳥選手がいた)。

             ぱわすぽには初めて行った。基本的にはカウンターバーで、中央に、厨房からつながったサーブするスペースがあり、それを取り囲む形で10数席が設けられている。それから察するにたぶんいつもそうなのであろう、前にゲストが出て観客がそれを聞き、その後に質問コーナーといったトークライブではなく、サーブスペースに選手たちがいて飲み物や料理を運んでくれ、客はお気に入りの選手とそれぞれ話す(といっても店が狭いので、誰かが話せばたいてい店中に聞こえる)スタイルだ。

             筆者はこの日の参加選手やFMWのTシャツは持っていないが、ヒールつながりということで「now」Tシャツを着て行った。まずは筆者が持参した、20年前の「週刊プロレス」(中村選手がベビーフェイスの「ナース中村」からヒールに転向した時期)を回し読みして盛り上がる(この号には山田選手以外の全員が掲載されており、山田選手も含めて全員にサインを書いてもらった。もちろんそのつもりで油性ペンも持参)。

             選手または店長からは「あたし(この子たち)にも一杯おごって〜」と声がかかり、ぶっちゃけ、レスラーがキャバ嬢を務めるキャバクラみたいなものだ(笑)。土屋選手は団体のトップヒールを務めただけあって「おいグラスが空だよ!」と言われるとかなりの迫力(目は笑っていたが)。ただし選手たちはほとんどがソフトドリンクを飲んでいたもよう。

             この日は全員が引退していることもあり、かなりの裏話が聞けた。印象に残ったものをいくつか。

            筆者「『バッドナース中村』のリングネームはバッドニュース・アレン選手へのオマージュだとネットに書かれていて、すごくセンスがいいと思っているんですけど、名付けたのは誰ですか」

            中村「『ナース中村』も『バッドナース中村』も、大仁田(厚)さんが付けたんです。だから真相は大仁田さんに聞かないとわからないけど、でも(アレン選手へのオマージュだというのは)たぶんそう」

            土屋「他の団体だと、場外乱闘に客が巻き込まれないように、セコンドに付いている選手は客を守らなきゃいけないけど、FMWでは『レスラーに手を出したら客が悪い』ことになっていたんで、客をボコボコにしてよかった(笑)。LLの(=LLPWが主催する大会の)会場では、一瞬どうしようかなと迷ったら、(LL所属の)遠藤(美月選手)が客を止めに入ったんで、代わりに遠藤をボコボコにした(笑)」

            中村「ツッチー(=土屋選手)、ここ(自分の額を指す)、(ベビーだった時代に)ツッチーに鎌(写真で土屋選手が持っているのが実物)でやられて、最近ちょっと髪が薄くなってきたら目立つんだけど(苦笑)」

            土屋(苦笑)

             隣席はキャロル選手のファンだという筆者とほぼ同世代の男性で、昭和プロレスの話で盛り上がった。ビンゴ大会では前泊選手が名古屋でやっている店のTシャツが当たった。店の前のリングを模したコーナーで記念撮影をし(あとでパネルに仕立てて郵送してくれるシステム)楽しく帰途についた。(command Z

            | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 20:54 | - | - | - | - |
            ミュージカルの伴奏をする
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              ミュージカルの伴奏をする

               

               2018年より、ミュージカル劇団の公演に、劇伴を演奏する楽団の一員として参加している。きっかけは、ある親子向けコンサートに出演してカホンを叩いた際、共演した座長に誘われたのだ。曰く「その楽器は何というんですか。人間ごと借りたい」と(笑)。

               劇伴は1988年に別の劇団で1度やったので、30年以上ぶりだ。ちなみにオペラの伴奏(オーケストラ)も1度、2013年に「ドン・カルロ」でシンバルを演奏している。

               今回の劇団は、アマチュアかつ既存の作品を上演しながらも、台本も詞・曲も新たに書き下ろしていて完成度が高い。作曲者の本職はピアノの先生だが、公演のピアノは他の奏者に任せ、自身は役者として演じ歌うマルチプレーヤー。

               筆者が最初に参加した作品は「オズの魔法使い」。楽団はギター・ピアノ・打楽器(筆者)の3人編成。顔合わせやリハの前にメールでやりとりし、その後に楽譜が郵送されてきた。作曲者からの注文として、普通に歌の伴奏や舞台転換時の間奏のほか、SE(効果音)も生音でやってほしいとのこと。こういうのはアイデアや創造性の発揮のしどころだ。いきなり難易度の高い注文が来た。

               

              ・ドロシーが銀の靴を履いたときに魔法がかかる音

              ・ドロシーが竜巻に飛ばされて落ちてくる音

              ・ドロシーが地面に落ちた音

               

               魔法がかかる音というのは筆者も聴いたことがないが(笑)ウインドチャイムでキラリン〜か、フレクサトーンでポヨヨ〜ンとやるのがいいだろう(前者が採用された)。

               竜巻は当初、映画「ツイスター」からゴオオオという音をイメージしたが、ウインドマシンは借りると大がかりだし、ネットを見ると自作している人もいたがこれも大変そう。掃除機?ヘアドライヤー?フードプロセッサー?バスドラムのヘッドをこする?…しかしここで発想の転換というか急にひらめいた。ハーモニックパイプを使うのはどうか。パニック映画じゃないんだし、重低音ではなく「回転している感じ・空気や風の感じ」が出ればいいのでは。そして実際に回すわけだから演出的にも面白いのではと。作曲者もゴオオオよりヒュウウウが好ましいとのことで決定。

               地面に落ちた音はジェンベ。これも「ドーン」か、前打音を付けて「ドドーン」のどちらがいいかと尋ねると、後者がいいとの返信。クリエイティブなやりとりは楽しい。

               リハに入った後も「カカシの背中の棒が抜ける音」(フレクサトーン)「ブリキを叩く」(カウベル)「火災報知器」(トライアングル)「深い森の雰囲気」(シェイカー)などのオーダーが来る。作曲者は特に打楽器に詳しいわけではないが、もともと持っていたイメージのほか、筆者があれこれ対応するのを見ると、じゃあこんなこともできますかと発想が浮かぶようだ。ミュージカルのために新たに購入したものもあり、おかげで楽器が増えた(笑)。

               筆者が参加した2作目「はだかの王様」では「基本的にお城の中で話が進むので、オズとは感じを変えてほしい」と言われ、伴奏はスネアドラムを中心に組み立てたら「宮廷っぽい」と好評であった。そもそも作曲者はいかにも「らしい」曲を作るのが巧みで、「はだかの王様」ならバロック(バッハ)ぽい曲が来るので、こちらも自然とそれに沿った楽器の選択や演奏ができる。

               ミュージカルは、バンドやオーケストラとは違い、芝居の台詞や演技にタイミングを合わせたり、稽古の具合によっては尺(曲の長さ・構成)やアレンジが変わったり、ときには立ち位置から役者の動きが死角に入ったりで気を抜けないが、それがまた楽しくもある。

               筆者が参加したことで音楽的に幅が広がり、貢献できているなら、参加した意味があってよかったと思う。(command Z

               

              | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 12:38 | - | - | - | - |
              好きなピアニスト10人(追悼:ライル・メイズ)
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                好きなピアニスト10人(追悼:ライル・メイズ)

                 

                 前々回に「好きなドラマー」を書いたが、実はSNSで最初に見たお題は「好きなピアニスト10人」であった。「アコースティックピアノの演奏が」という意味で、以下挙げる。敬称略。

                 

                高橋悠治

                 最初に聴いたのは坂本龍一の1stアルバム「千のナイフ」収録曲「Grasshoppers」での共演。筆者が現代音楽を聴き始めたころで、高橋は坂本のラジオ番組にも出演し、興味を持った。アルバムを何枚か聴き、コンサートにも行った。一度、後述する井上鑑のライブに行ったら客席が隣で、少し話したことがある。

                 

                山下洋輔

                 中学時代に筒井康隆を読み始め、エッセイによく登場するので知ったのが最初。高校卒業式の前日、同級生に誘われて高円寺JIROKICHIでのライブを聴きに行った(山下トリオ+1)。ラジオやテレビもチェックして聴いた。筆者が即興演奏というものを初めて聴いたうちの1人。

                 

                坂本龍一(YMO他)

                 高校時代にYMOを聴き始めて以来、多くのアルバム・ライブ・出演番組を聴いた。YMOは現在でも、好きな/影響を受けたアーティストのベスト3に入る。YMOではシンセサイザーを弾くことが多かったが、寺田倉庫等でのピアノソロライブも良かった。

                 

                井上 鑑

                 最初に聴いたのは、土屋昌巳ソロ作に参加したり、NHK「ベストサウンド」のナビゲーターを務めていた時期。彼もアレンジやシンセ弾きの面が大きいが、ドラマ「ガリレオ」テーマ曲「vs.〜知覚と快楽の螺旋」(福山雅治作曲)他でのピアノも良い。長らく福山のアレンジやライブバンドを務めており、福山は紅白歌合戦でパシフィコ横浜からのライブ中継が恒例となっているので、毎年末は楽しみ。昨年は「井山大今」のライブを聴いた。

                 

                ジョン・ポール・ジョーンズ

                 レッド・ツェッペリンにおけるジョーンズの役割は第一にはベーシストであるが、バンドには専任者がおらず、アルバム、ライブではほぼ全てのキーボードを弾いている。「No Quarter」「Darlene」等ではアコピの印象的なプレイを聴かせる。以前の仕事でインタビューしたのは一生の自慢。

                 

                キース・ティペット

                 キング・クリムゾンのアルバム数作に参加、フリーキーでアバンギャルドなプレイを残している。正式なメンバーにはならなかったが、バンドや、リーダーであるロバート・フリップへの影響は大きかったらしい。筆者はクリムゾンのコピーバンドをやっているので、こういうピアニストがいたら共演したい。

                 

                パトリック・モラーツ

                 イエスやムーディー・ブルースへの参加、ソロ作等で知られるが、ビル・ブルーフォードと生ピアノ&生ドラムだけで作った「Music for Piano & Drums」は、プログレ、ジャズ、クラシック、ラテンの枠を飛び越える秀作。このデュオで来日も果たし、聴きに行った。

                 

                ライル・メイズ

                 パット・メセニー・グループへの参加で知られる。印象的なピアノで始まる「The Search」は学生時代にコピーした(筆者はドラム)。今年2月10日に死去。RIP。

                 

                フェビアン・レザ・パネ

                 大貫妙子「ピュア・アコースティック・ライブ」(歌+ピアノ+弦楽4重奏)を生で聴き、良かった。背を真っすぐ伸ばした姿勢で弾く端正なプレイが印象的。ソロアルバム「ガネーシャの夢」も、ときどき引っぱり出しては聴いている。

                 

                上原ひろみ

                 アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスとトリオを組んだことを知り気になっていたところ、あるときライブハウスで開演前にかかっていたプログレシブな曲がかっこよく、スタッフに尋ねたら彼らのアルバムであった。先日その店に初出演した際に上記の話をしたら、さっそくかけてくれた。いいハコだ!

                 

                 クイーンのフレディ・マーキュリーや矢野顕子のピアノも好きだが、ここに並べるのはちょっと違う気がする。(command Z

                | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 20:50 | - | - | - | - |
                好きなドラマー10人・洋楽編(追悼:ニール・パート)
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                  好きなドラマー10人・洋楽編(追悼:ニール・パート)

                   

                   1月7日にラッシュのドラマー、ニール・パートが亡くなった。RIP。

                   SNSで「好きな○○ベストいくつ」のような「お題」がよく投稿され、筆者も何度か書いたことがあるが、その中からまずはドラマーを挙げてみよう。

                   

                   ジョン・ボーナム 主な在籍バンド(以下同):レッド・ツェッペリン

                   最も偉大なバンドの最も偉大なドラマー。パワー・グルーヴ・テクニック・サウンドのどれもが超弩級。バンドの幅広い音楽性を支えた。早世が惜しまれる。

                   ・好きな参加アルバム(以下同):レッド・ツェッペリンIV、プレゼンス

                   

                   ビル・ブルーフォード:キング・クリムゾン他

                   メジャーなドラマーでは、たぶん最も「変な」プレイをしている。変拍子・ポリリズム・スリップビートを駆使し、プログレッシブロックを代表するドラマー。日本人を含む多くのアーティストと共演、来日回数も多く、メジャーシーンでは筆者が最も多くのライブを見たドラマー。

                   ・太陽と戦慄、ミュージック・フォー・ピアノ・アンド・ドラムス

                   

                   アラン・ホワイ:イエス他

                   イエスでは前任ブルーフォードの個性が強すぎて、ホワイトは特に日本での評価が低すぎるが、バンドにはホワイトの方がマッチしている。ブルーフォードは、クリムゾンでの方がより本領を発揮している。イエスの来日公演で数回見た。

                   ・リレイヤー

                   

                   テリー・ボジオ:UK

                   フランク・ザッパの「門下生」。変なプレイではブルーフォードと双璧か。近年は楽器も、常軌を逸した多点セットを叩いている。あのテクニックにして「ダブルストロークが必要なければ、シングルで十分」と発言をしたことがあり、ほとんどシングルで叩く筆者の励みになっている。

                   ・デンジャー・マネー

                   

                   ニール・パート:ラッシュ

                   ある意味ツェッペリンの進化形とも言えるラッシュを、プレイと作詞やコンセプト作りで長年牽引した。と言うよりラッシュは2ndアルバム以降、39年間・スタジオ盤で20作にわたって不動のトリオであった。

                   ・グレース・アンダー・プレッシャー

                   

                   ゲイリー・マラバー:スティーヴ・ミラー・バンド他

                   今回登場する中では、特に日本でたぶん最も知名度が低いが、2チャンネルにたまにあるガチなスレッド「本当に上手いドラマー」でも名が挙がっていた。「フライ・ライク・アン・イーグル」の間奏明けのフィルインはスリリングで本当にかっこいい。

                   ・鷲の爪

                   

                   ヴィニー・カリウタ:ジェフ・ベック他

                   やはりザッパ門下生。筆者が珍しくR&Bバンドで叩いたときに「カリウタ好きでしょう」と言われた。「ハードロックもプログレもフュージョンも叩くドラマーが歌ものを叩いたときの感じ」に共通するものがあったようだ。

                   

                   ポール・ワーティコ:パット・メセニー・グループ

                   「繊細な」という形容が当てはまり、当たり前だがメセニーの音楽性によく合っている。シンバルレガートで複数のライドを叩き分け、その粒立ちがきれいである。ライブ・アンダー・ザ・スカイで見た。本稿を書いている間に、バンドでの盟友ライル・メイズ(キーボード)の訃報が届いた。RIP

                   

                   マヌ・カチェ:ピーター・ガブリエル他

                   こちらは「しなやかな」という形容がぴったり。ドラムに詳しくない知人も、聴かせてすぐにそう言っていた。ガブリエル、スティングの来日公演で見た。

                   

                   スティーブ・ジャンセン:ジャパン

                   ニューウェイヴ系ドラマーは、特に録音では打ち込みを併用したり音色を加工したりが多く、プレイの細かいニュアンスやテクニックが伝わりにくいが、ジャンセンは本当に上手く、かつ個性的。

                   ・錻力の太鼓

                   

                   以上、必ずしも名前を挙げた順に好きというわけではないが、ボーナムだけは今後も不動の1位だろう。(command Z

                  | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 10:12 | - | - | - | - |
                  洞窟で演劇を観る
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                    洞窟で演劇を観る

                     

                     2019年6月16日、知り合いの劇団が北関東某県の某洞窟内で公演を行うというので、観に行った。演劇については特に詳しいわけではないが、もともと小劇場などで公演を観るのは好きである。

                     この劇団は確固たるポリシーの下、年に数回の公演を行っているが、いわゆる普通の劇場やホールを使用しない。カフェや居酒屋はいい方で、区民館の和室や調理室、古民家を利用した郷土資料館、営業時間外の銭湯、公園、山の上でも行う。地下の貸しスペース(無灯)や深夜の鉄道無人駅では観客は懐中電灯持参だし、夏には池や湖の岸で出演者全員が水に落ちるなどというものもある。

                     筆者も劇伴や効果音の演奏で何度か参加したことがある。水に落ちたことはないが。

                     今回は一般公開されている洞窟内での公演である。当然、懐中電灯持参だ。

                     自宅から洞窟の最寄駅まで、ほとんどの区間は某大手私鉄を乗り継いで行ける。私鉄ファンの筆者にはうれしい。最後、洞窟の最寄駅までの支線には初めて乗った。単線を鋼製車両が2両編成で走っている。鉱業が盛んな地域で、現在はトラックのようだが、かつては鉄道が貨物輸送に使われたのであろう、各駅は構内が広く側線が何本もある。

                     終着駅で降りる。鉱業のおかげか、町は思ったより活気がある。事前に調べたところ町中華も4軒ほどあったので、少しずつ食べ歩く予定だ。

                     公演に間に合う時刻から開いているのは駅前の1軒だけなので、昼食はここに決定。手打ちラーメンと豚カツが売りのよう。「ラーメン(唐揚げ付き)」というのがあったので、豚カツ屋の揚げ物なら美味しいだろうと注文する。実際、美味しかった。

                     公演は、実は特に許可を取らず(というより許可が下りないだろう)ゲリラ的に行われたので、内容詳細は書けない(笑)。洞窟なので、暗いのはもちろん、台詞も聞き取りづらい。しかしこの劇団に関しては、芝居を観るだけではなく、会場までの行程や周囲の環境までをも含めた体験を楽しむものだと筆者は捉えている(写真´◆法

                     座長自ら作った軽食がふるまわれる休憩を挟み(この劇団の公演ではしばしばある)、後半は、洞窟から出て山道を少し登り、ちょっとした展望台での公演であった(写真ぁ法

                     帰路は観客の2人がバスを利用するというので同行した。ダイヤは定められているが、何と予約制で、予約がない便は運行しないのだ。

                     駅の少し手前の停留所で降り、2軒目の町中華に向かったが、臨時休業なのか営業していなかったので3軒目に向かう。

                     3軒目は、のれん・提灯・幟は掲げられているものの、外観は民家のよう(写真ァ法E稿發癲∪泙蠑み式の長机にパイプ椅子6席分は、まるで地域の集会所だ(奥に小さい座敷が8席)。近所の年輩の方々が、飲み食いしながら雑談に興じていた。メニューの種類は多くなく、湯麺が美味しいとのことだったが、このあともまだ別の店に行くので、焼きそばと酎ハイにしておいた(写真Α法自然と筆者も雑談に加わる。

                     その後、近くの化石博物館、美術館、伝統館を見て回り、4軒目の町中華へ。ここは町中華というより、わりと本格的なメニューがそろっていた。「辣海鮮麺」(写真А砲班咼咫璽襪鮹輅検

                     帰途に着く。駅までの途中、明らかに暗渠と思われる脇道があったので(写真─砲修舛蕕鯆未襦と、ミニパトの警官に呼び止められた。

                    「道に迷われましたか」「いえ、いい暗渠があるなと思って」「アンキョ?」「暗渠というのは(中略)ほらこの道のカーブと蓋とマンホールが…」「あ…どうぞ」。「変な人に声かけちゃったな感」満載である(笑)。

                     駅のホームからは、ずいぶん距離があるのに、富士山のシルエットが見えた。

                    (command Z)

                     

                         

                    | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 23:10 | - | - | - | - |
                    ゴジラKOM感想
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                      ゴジラKOM感想

                       

                       映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」を、公開3日目の6月2日に見た(字幕版、THX方式)。IMAX方式の画像・音響の鮮明さと迫力には敵わないが、THXもなかなかのものである。よく行くイオンシネマがこの方式で、交通の便がよく、ひどく混雑することもないので、今回も利用した。

                       ちなみに筆者はこれまでのゴジラシリーズ34作のうち、30作を劇場で(リバイバル上映を含む)、残る4作もテレビで、すべて見ている。「シン・ゴジラ」は劇場で18回見た。

                       今作は2014年「GODZILLA」の直接の続編であり、前作の成功を受けて制作が決まったとのことで、前作に登場した新怪獣ムートーに代わり、日本版で人気の高いモスラ、ラドン、キングギドラが登場すると、早い段階から予告されていた(他にも前作のムートーや、「端役」の新怪獣が登場するが、メインの4体の組み合わせは、筆者が好きな「三大怪獣 地球最大の決戦」と同一である)。

                       メインの登場怪獣だけでなく、今作は至るところにシリーズ過去作へのオマージュが見受けられた。

                       

                      ・キングギドラを「モンスター・ゼロ」とも呼称する(「怪獣大戦争」でX星人が)

                      ・ラドンが火山から出現する(「空の大怪獣ラドン」の阿蘇山)

                      ・モスラが中国に出現する(「怪獣総進撃」で北京に)

                      ・対怪獣兵器「オキシジェン・デストロイヤー」が登場する(「ゴジラ」〈1954年版〉)

                      ・「芹沢博士」(演・渡辺謙)が潜水服姿で怪獣に挑む(同)

                      ・キングギドラの声が、低いながらも日本版のそれに近い(「三大怪獣 地球最大の決戦」他)

                      ・劇中音楽に、伊福部昭氏が作曲した「ゴジラ」メインタイトルや「モスラの歌」が使われる(「ゴジラ」「モスラ」他)

                      ・キングギドラの引力光線が、従来の口からだけではなく、翼と尾の先からも放射される(「シン・ゴジラ」でのゴジラ)

                       

                       他にも、インターネット上に「怪獣と意思疎通を図る機器『オルカ』のデザインが、『モスラ』で小美人を運んだ箱に似ている」との指摘が見られ、これも間違いないだろう。

                       よくこれだけ詰め込んだなと思うほどのオマージュの固まりであり、そういう意味では面白かったのだが、逆にそれだけに終始してしまって、ストーリーは凡庸…というより、正直だいぶあちこち破綻していた。いわゆるご都合主義や「やりすぎ」な部分も多かった。ゴジラが吐いた放射線熱で汚染されているはずのエリアに米軍が防護服も着ないで入って行くし、あの展開では少女マディソンはギドラに10回くらい殺されていてもおかしくない。

                       また怪獣はすべて着ぐるみではなくフルCGで造られているが、CGの悪い点が出てしまったように思う。特にギドラは動きがぐにゃぐにゃしすぎで生物感に乏しいのだ。モスラも光りすぎである。その一方で、ゴジラやギドラが妙に人間臭い「表情」を見せる。キングコングならあれでいいかもしれないが、爬虫類や宇宙怪獣では違和感が付きまとう。

                       2014年「GODZILLA」はよくできていたし、東日本大震災にもきちんと向き合っていた。その監督だったギャレス・エドワーズは、今回も当初は監督を予定されていたが、スケジュール等の都合で、マイケル・ドハティに交代したとのことだ。やはりギャレスに撮らせるべきだったのでは。しかしギャレスも今作の脚本には関わっているようだし…うーん。

                       とにかく「シン・ゴジラ」(2016年)のテーマ性、リアリズム、緻密さ、伏線の張り方と回収の仕方、過去作へのオマージュ、こだわり方等が尋常でなかっただけに、今作は大ざっぱさが目についてしまった。次作「Godzilla vs. Kong」では改善されているといいのだが。

                       特撮・怪獣映画について、平成ガメラシリーズ3部作の金子修介監督の「怪獣映画って、怪獣自体が大嘘じゃないですか。だから怪獣以外は全部本物に見えなきゃいけないんです」という言葉に、この監督は信頼できると思ったし、実際に平成ガメラ3部作も、その流れを汲む(と言っていいだろう)「シン・ゴジラ」も、そのように作られていた。今後もそうした、大人の観賞に耐え得る良質な怪獣(特撮)映画が制作されることを望む。

                       でもまあ、IMAXでもう1回くらいは見てもいいかな。(command Z)

                      | co-verita | 本・映画・演劇・音楽 | 20:58 | - | - | - | - |
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