語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

校正補助ツールを使ってみた
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    校正補助ツールを使ってみた

     

     以前AIのことは全く知らないが、コストの問題等を解決しないとAIは既存の校正補助ツールには勝てないのでは、と書きました。でも、ある程度の信頼性はあるだろうと推測はしていましたが、投稿した当時は実際に自分で校正補助ツールを使った経験はありませんでした。

     そんなある日、ジャストシステムの校正補助ツール「Just Right! 6 Pro」(以下「Just Right!」)がお試し期間中は無料で使えると知りました。

        http://www.justsystems.com/jp/products/justright/

      ホームページによると、「Just Right!」が誤字脱字や表記ゆれを瞬時にチェックすることで、校正者は文意や事実確認に専念し、作業時間を大幅に短縮できるのだそうです。さらに重ね言葉や機種依存文字などもチェックするなど、かなり機能は充実している様子。

     校正補助ツールの行う校正とはどのようなものか? そして、自分の書いた文章はどのように校正されるのか? お試し版をダウンロードし、前回ブログに投稿した「もっとテレビに世界史を」を「Just Right!」に見てもらいました。

     説明書に従い校正実行ボタンを押すと、瞬時に校正は終了し、校正結果:5件、表記ゆれ:1グループという結果が表示されました。校正結果5件の内訳は、誤りチェックに3件(うち、辞書に登録されていない単語2件)、機種依存文字が2件でした。

     まず、誤りチェックでは「日本すごい」が、「誤字脱字・助詞抜けの可能性があります」との指摘。文法的にはもちろん「日本はすごい」と助詞をつけて書くのが正しいですが、ネット上で使われている俗語を用いたものなので、助詞が抜けていることは承知しています。そして、辞書に登録されていない単語と指摘されたのは「にっぽん!歴史鑑定」の「にっぽん」と「てーるはっぴー」。前者は番組名で変えようがないですし、後者は筆名で変更しようと思えばできますが、変更しなかったら間違いというものでもありません。

     そして機種依存文字は「謎」が2件、「JIS X0213:2004などで例示字形が変更された漢字」としてヒットしましたが、これも間違いというほどのものではなさそうです。ただ、表記ゆれに関しては、「と言う」1件と「という」3件が混在しているとの指摘がありましたが、間違いではないにしてもそろえるべきだったと思います。唯一漢字を使った部分は「出版不況と言われる」と伝聞形式で、記者ハンドブックの記述に従うと平仮名にする場面でした。

     いろいろ思うところはありますが、とりあえず明らかな誤字脱字はなかったようでホッとしています。でも説明書では基本操作は簡単そうだったのに、実際に操作してみると当初はWordファイルをうまくダウンロードできず、四苦八苦しました。だいぶ後になって自分が最初に読んでいたのはWordファイルではなく、テキストファイルの部分の説明であることが判明。校正補助ツールの性能を云々する前に、こちらがツールをしっかり使いこなせる頭を持つことが第一のようです。          (てーるはっぴー)

    | co-verita | 校正・校閲豆知識 | 11:42 | - | - | - | - |
    アタリがつく?!
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      アタリがつく

       

      校正の仕事ではいろいろな文章を読みますが、最近になって、自分には「得意なジャンル」と「不得意なジャンル」があるなあ、ということに気づくようになりました。誤字・脱字やページの体裁などの問題は、誰でも同じように赤ペンで直しをするわけですが、それ以外の、鉛筆で書き込むレベル、つまり「こうした方が適切ではないですか」「正確ではないですか」というような指摘は、校正者の個人的なバックボーンというか、「この分野はちょっと知ってるぞ!」ということが、モノをいうところがあります。社内では「アタリがつく」などと言っているのですが、文章のジャンルにアタリがつく校正者が読んだ時には、内容にまで深く踏み込んだような指摘を、ぱっと出すことができたりするのです。

      のみかたは、少し翻訳をかじっていたことがあるので、翻訳ものの文章を校正するときにはアタリがつくことがあります。日本語の文章を読んでいて「ここの意味、よくわからないな…」となったときに、「原文の外国語は、きっと〇〇でしょう。それなら●●という訳語の方が正確では?」という指摘を出したりするのです。

      実際にあった例ですが、世界の伝統建築についての文章を校正しているときのこと、海からかなり離れた内陸部で、マグロのペーストを使った家を建てる、という文章が出てきたことがありました。これはおそらく、別の材料だろうな、と思われたので、マグロに対応する英語 tuna を調べたところ、同じつづりで「ウチワサボテンの実」を意味する tuna というスペイン語(たしか)の単語があることがわかったのです。

      こういう指摘を出せたときは正直とてもうれしいものですが、あまり内容にこだわっていると、単純な誤字を見落としてしまうこともあるようで、一文字一文字見ていくというのが、やはり基本になるのだと思います。

      ところで、テレビで米国の総合格闘技の試合を見ていた時、実況解説者のコメントに合わせて出てきた字幕に「青コーナーの選手が所属しているのはプロレス系のジムですが、ここのジムは最近打撃の練習を強化しており…」という記述がありました。推測するに、これは「レスリングの練習を重視しているジム」の意味で pro-wrestling gym と言ったのを「プロレス」と訳してしまったのかなと…。アタリがつく方がいたら、教えてください。(のみかた)

       【管理人より】

      へーぇ、「アタリがつく」といういい方をするとは寡聞にして知りませんでした。「proー」については、「〜賛成の、〜ひいきの」(研究社「リーダーズ英和」)という意味の前置詞ではないでしょうか? かつてはよく「あいつはプロスタだ」などと悪罵したりしたものでした。もっとも、(のみかた)君の話の文脈には今一つ合っていませんネ……。

       

      | co-verita | 校正・校閲豆知識 | 04:14 | - | - | - | - |
      事実確認
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        事実確認

         

        いまさらですが、少し前に話題になったテレビドラマ「校閲ガール」。わたしは見たことがなかったのですが、知り合いから聞いたところでは、小説中の建物の構造を理解するために模型を作って確かめたり、レシピ本の校正をしながら実際に料理を作ってみるのだとか。伝聞による情報ですが、「校閲」の一般的なイメージを誇張すると、こんな感じなんでしょうか。なんだか、著者さんに「やかましい!」って言われたら全部むだになってしまうような気がしますが、どうなんでしょう。なんにしてもすごい時間あるな、とは思いました。

        校正をしていて調べものが必要なとき、のみかたは普段、「深入りしすぎず、手を抜かない」を心がけて調査をします。ただ、このバランスを保つのは結構難しい。特に、自分が少し知識を持っていることについては、つい余計に調べてしまうものです。それでも編集者、著者、そして読者の方々にとって有益(たぶん)な指摘を出せた時のうれしさは大きく、普段から多ジャンルにわたって興味を持ち勉強するのが大事だな、と思っています。

        ところで先日、「靴の消臭には10円玉が効果的」と聞きました。10円玉に含まれる銅に、殺菌効果があるのだとか。しかし、「本当に効くの?」「効くなら、何枚くらい入れればいいの?」、WEB記事でもいろいろな意見があり、わからない。生活豆知識系のムックなどを校正するときのために、これはぜひ実験してみなければと思い、やってみることにしました。

        片方に3枚ずつ入れて、一晩おいたところ、なんとなくさわやかになっているような気もするが、まだいまいち。短気な私は、買い物の釣り銭で60枚くらい10円玉を手に入れ、全部突っ込んで一日置いてみることに。しかし、靴の臭いはあまり消えず。

        もしかして大量だったのがいけなかったのかも、などと思わないでもないですが、靴がかな臭くなったので、再実験の予定はありません。豆知識系の仕事で10円玉の話が出てきたら、あまり深入りしないようにします。ひとつ、やってみて分かったこと。小銭が大量に詰まった革靴は、しょぼいへそくりみたいに見えます。    (のみかた)

        | co-verita | 校正・校閲豆知識 | 09:42 | - | - | - | - |
        おすすめ辞典その2 『数え方の辞典』(小学館)
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          梅雨に入り、湿気に悩まされる時季がやってまいりました。
          恵みの雨ではあるものの、朝はピーカンのお洗濯日和なのに、突然の雨が降るのは勘弁してほしいものです。
          あ〜、洗濯物が〜!

          最近、とても興味深い話が話題になっていました。
          作家の沖方丁さんがラジオで話したという、動物の数え方のお話をツイッターで紹介していたのです。

          宇津井俊平@utsu_shunさんのツイート
          https://twitter.com/utsu_shun/status/475124887015538688

          「(前略)牛豚は一頭、鳥は一羽、魚は一尾、つまり食べられずに残る部位である。では人間はどうか。一名二名……ああそうか、死んで名を残すから!(後略)」

          元のツイートをされた方、またそれに反応してリツイートやリプした方々が大勢いらっしゃったこともうなずける、なんともおもしろいお話です! また、このツイートに、「人を喰った話だと思います」(サイエンスカフェin静岡 ‏@SciCafeShizuokaさん)と返してらっしゃるのにも、思わずニンマリ(笑)。

          動物や物の数え方は、校正・校閲をしていても非常に悩ましいものです。
          ネットで手軽に、ということもできなくはないのですが(「もののかぞえかた」http://www.monokazoe.com/index.htmlなど)、網羅性、信頼性の面で……やはり、こういう時には辞典に当たると安心です。なかでも、『数え方の辞典』(飯田朝子著・町田健監修、小学館)は、非常に役立ちます。のみならず、帯に「日本語の豊かな゛数え方文化”に触れる」と記されている通り、解説を読んでいるだけでも楽しくなってきます。

          たとえば、動物の数え方が知りたい場合、「どうぶつ」の項目で引いて、そこに記された参照矢印に従って、コラムで数え方の歴史的変遷も含めた解説を読んで知識欲を刺激されるなど、実に楽しいです。動物の数え方で言えば、成人が抱きかかえられる動物を数える場合に一般的な「匹」と、大形動物を数える「頭」を、さらに巻末の「助数詞・単位一覧」でそれぞれ引いて読めば、いっそう知識も深まります。

          さてさて、それでは問題の「頭」。なぜ、「頭」で数えるようになったのか。211ページの「コラム12」をぜひご覧ください。
          ちょっとだけ紹介すれば、

          「(前略)大形の動物を数える『頭』の歴史は意外にも浅く、夏目漱石の時代にはまだ一般的には使われていませんでした。早くても明治末期から、英語の影響を受けたからだと考えられます。(後略)」

          あとは読んでのお楽しみ。
          ぜひ、本辞典をひもといてみてください!
           
          | co-verita | 校正・校閲豆知識 | 15:39 | - | - | - | - |
          役に立つ辞書(おすすめ辞典その1)
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            Verita連続講座第6回の講師、滝田恵さんのお話の中で、国語辞書も含め、ネットでたいがいは調べられるが、校正をするうえでこれだけは手元に用意したい、とおっしゃっていた漢和辞典。

            関連ツイート
            https://twitter.com/koseiverita/status/434569500151660544

            もちろん、漢和辞典ほか漢字の辞典は必須だと思いますが、ほかにネットでは調べようがない、それでいてあると役立つ辞書として、今回取り上げたいのは以下です。

            『てにをは辞典』(三省堂)

            刊行以来、好評ですので、すでにご存じの方も多いと思います。
            この辞典の編者、小内一さんは「校正者」とのことですので、やはり、校正者が何を悩み、迷い、苦しんでいるのか、わかってらっしゃるという点が、この本の使い勝手の良さの背景にあるかもしれません。
            実際、校正・校閲の仕事をしていると、たとえば「可能性」が“高い”のか、“大きい”のか、はたまた“強い”のか、などなど、あるいは“影響“が”強い”のか、“大きい”のか、“高い”のか(あるいは「影響力」とした場合どうか、など)、ちょっと不自然だなと感じる表現に引っかかりを持つことが多くあります。自分自身の「語感」といったものがこれまた案外当てにならないもので、別に正しいのにおかしいと感じたり、逆に、まずいものを見逃したり……何かに当たって確かめたいという経験は、何らかの形で文章を書く、あるいは読んで校正するなどなどの作業をしたことがあれば、なさっていることと思います。
            こうした場合に役立つのは、いわゆるコロケーション(語の連結)辞典といったもので、研究社等でも出しています。

            なかでも、ここで紹介する『てにをは辞典』は実用面でも優れておりますが、加えて、以下にリンクを記す東京大学文学部准教授の阿部公彦さんの書評が、この辞典の別の「魅力」をとてもよく伝えていると思いますので、紹介いたします。少々長いですが、ぜひ読んでみてください。

            紀伊國屋書店「書評空間」
            http://booklog.kinokuniya.co.jp/abe/archives/2011/01/post_79.html

            いかがでしょうか。
            私は、心が何かざわつくような、ワクワク感を覚えます。
            辞書を読む喜び、楽しみにいざなわれませんか?
            | co-verita | 校正・校閲豆知識 | 18:12 | - | - | - | - |
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