語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

VERITA連続講座2013第3回 簡単な紹介
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    昨年11月16日に行われたVERITA連続講座2013の第3回「ビジネス校正の最先端で問われること」の講師は、聚珍社に所属し、日本エディタースクールの講師も務めていらっしゃる中村進さん。
     
    ご自身の校正スタイルを「口校正」と称し(笑)、あるいはまた「口パソ(コン)」といった言葉が飛び出すほどの闊達な語り口で、ビジネス校正の最前線のことをお話しされました。
     
    講師の中村さんの主要なメインの仕事の1つは、年2回のアスクルというカタログ1200ページの校正とのこと。携わるようになって、もう10年ほどになるそうです。中村さんの場合は、校正現場でゲラと向き合って校正するというよりむしろ、クライアントのアスクルや広告代理店のADK、印刷会社、デザイナーの方たちなどと制作についての話をしたり、全体の進行の統括をしたりの、いわばディレクター的な役割を担っているとのことでした。
     
    中村さんのお話をうかがっていて、やはりビジネス校正(中村さんは商業印刷校正、エディタースクールでは企業印刷物校正という言い方をしているとのこと)には、連続講座第1回、第2回の単行本校正とは、同じ校正でもずいぶんと違った点がある、ということです。
    それは、ビジネス校正=商業印刷校正のもう一つ別の呼び方、デジタル校正、つまり活版印刷校正に対するデジタル校正という呼び方に如実に表れています。組版が活版などではなく、DTPで行っていることから生じる、独特の間違いが問題となるのです。
     
    たとえばそれは、「先祖返り」といった現象であったり、DTPのデータ管理の問題によって生じる間違いが多く、一文字単位で見る校正とはまた違ったチェックが必要になるということです。
    そのときに触れた、「誤植」についてのお話はとても興味深いものでした。
    「植字工が文字拾いをミスするのが誤植。誤字、誤変換を誤植とイコールのように話をすると絶対わけが分からなくなる」「活版の時代は一文字、写植の時代はその誤字プラスアルファというのが誤植の捉え方です。じゃあDTP組版の分野での誤字誤植は? DTPの誤変換を写植の時代の誤植は同じものなのか」
    これが、中村さんの問題意識です。
     
    「広辞苑での誤植の定義は『印刷物で文字・記号などに誤りのあること、ミスプリントですからね』。ミスプリントが誤植でしょうか? それを言っていったら誤植は膨大にあります」
     
    DTPになると、間違いのバラエティが多くなる、場合によっては、ページ全部間違えることがある、とのことです。とてもクライアントには見せられないような出来、データが違う、貼り間違いや判型の間違い。こうなると、校正紙にもならないので、大きくバツを書いて戻してしまうそうです。
    これらの多様なミスのうち、たとえば、文字以外だと、
     
    ・サイズが違う
    ・色が違う
    ・フォントが違う
    ・写真が違う、欠けてる、粗画線が出てる、上にケイがかかっているなどの写真に関わるミス

     
    文字関連だと、
     
    ・人名の間違い
    ・社名の間違い
    ・価格の間違い
    その他の要するにいわゆるファクトチェック、事実関係類のミス

     
    これらはすべて全部刷り直し対象となるような、重大なミスになるとのこと。
    誤字の類なら、恥ずかしい、ごめんなさいですむレベルですが、上記のようなミスを見つけ、「刷り直し防止」をするのが、ビジネス校正の仕事なのだとのこと。
     
    話は上記以外にも、商業印刷特有の問題、また校正者にとっての常日頃心がけたほうがよいことなどなど、多岐にわたりました。立て板に水といった風情で一つ一つ説得力のある話をされ、わたくしなどは圧倒されどおしでした。
     
    面白くもためになるお話も、ブログではなかなか全容を紹介しれきれないのが残念です。
    しかし、朗報です!
    連続講座をなんとか書籍化できないか、検討を始めております。
    できれば、秋にでも刊行できればと考えております。
    書籍化が決定し、詳細がわかりましたら、随時、こちらのブログでご案内したいと思います。
    引き続き、よろしくお願いいたします!
    | co-verita | 連続講座報告 | 17:47 | - | - | - | - |
    Verita連続講座2013 第1回の簡単な紹介
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      たいへん遅くなってしまいましたが、昨年9月から今年2月まで全6回行われた連続講座のお話の要旨について、このブログでも紹介していければと思います(なるべく、間をあけずに定期的に掲載できればと考えておりますが、どうなりますことやら……)。

      記念すべき連続講座第1回(2013年9月21日開催)の講師は、新潮社校閲部で副部長をなさった飛山純子さん。単行本の校閲、なかでも文芸ものの校閲を長くなさってきた方です。
      「校閲とはどういう仕事か─単行本校閲38年の経験から─」と題し、校閲という仕事の奥深さ、そして仕事上役立つ点などについて、有名作家とのエピソードも交えて語ってくださいました。とても楽しく、ためになるお話でした。

      「一言で言いますと、校閲というのは著者が書いた文章を読者に誤りなく伝わるように著者をサポートする仕事です。そういう意味では校閲はとっても大事な仕事です」

      との最初の言葉には、ともすれば縁の下の力持ち、顧みられることの少ない校閲という仕事についての矜持と、強い責任感を感じ、とても印象的でした。

      その後、活版印刷の時代の「校正」についてのお話から「校閲」の話へ。この違いについて、とてもクリアな説明をなさいました。なかでも、文芸ものについては、「著者の書いたものを勝手に正してはいけないのだから、校正という仕事は本当は今はもうない」というお話はショッキングでした。

      実務上の役立つお話といえば、新潮社の校閲部で共通認識になっている8項目の確認作業です。

      一番目、文字、言葉、文章の適否の確認。
      二番目、いわゆる百科項目、歴史的な事実など、ありとあらゆることの確認。必ず二つ以上資料を使うのが重要とのこと。
      三番目、固有名詞の確認。地名、人名、社名。必ず何かで確認する。
      四番目、距離、時間、金額などの数値。
      五番目、引用文の原典照合。
      六番目、差別表現。
      七番目、作品それ自体に含まれているかもしれない齟齬。
      八番目、一冊の本を通して全体的な矛盾とかバランスとか話の筋の流れなどの確認。これが単行本の場合は非常に大事だといいます。

      一から五番目までのことは辞書や資料を調べればいいので、校正的な仕事とのことでした。
      やはり七番目、八番目については、「校閲」のいわば醍醐味の部分。具体的な事例を挙げたお話がとてもおもしろく、ここでは書ききれませんが、いつか何らかの形でみなさんにも読んでいただければと考えております。
      お楽しみに。
      | co-verita | 連続講座報告 | 17:30 | - | - | - | - |
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