語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

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国連特別報告者への政府回答を批判する
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    国連特別報告者への政府回答を批判する

     

     以前「共謀罪について思うこと(その5)」で、国連特別報告者のカナタチ氏の勧告に対して官房長官がまともに反論していないと書きましたが、その後動きがありました。8月21日、政府はカナタチ氏に対する回答を提出し、外務省のホームページに公開しました。

    http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/is_sc/page24_000896.html

     

     回答はPDFファイルで13ページあります。予想に反して、当初は力強かったです。特に森林法第198条や著作権法第119条のように組織犯罪及びテロリズムとは無関係ではないのかという指摘に対して、指摘された法律の条項を列挙して、組織的な犯罪集団の資金源になりうると反論しているあたり(P3からP5)、内容はともかく意外と真面目に回答しているな、と一瞬驚きました。

     が、読み進めていくにつれ、政府の投げやりな態度が明らかになってきます。例えば政府が監視を強化するならば適切なセーフガードと救済措置を担保すべきではないのか、という指摘(P5からP6)に対して、次のように反論しています。

     

    “今回の「テロ等準備罪」の新設は、刑事実体法規定の整備であって、刑事手続法上の捜査の在り方について変更を加える改正を行うものではない。同罪の捜査は、これまでの他の犯罪の捜査と同様に行われるものであるから、同罪の新設により国民に対する監視が行われるようになるとの批判は全く当たらない。このように、法律上も運用上も、国民に対する監視が強化されることはあり得ず、御指摘の「セーフガード」や「救済措置」を新たに設ける必要はない”

     

    「全く当たらない」とか「あり得ず」なんて言葉を大した根拠も示さず使っている時点で信用に値しません。令状なくGPSを用いた捜査が最高裁で違法とされたことはどう説明するのでしょうか。

    http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/600/086600_hanrei.pdf

    https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG15H3Y_V10C17A3000000/

     

     また、その後に、

     

    “捜査機関においては、令状請求に当たり、その要否を慎重に検討した上、当該令状を必要とする理由を疎明する資料を提出しており、その上で裁判官において、厳格な司法審査を行っている”

     

     と書いていますが(P8)、なぜ「慎重」で「厳格」と言えるのか、やはり根拠は示されていません。数カ月前に徳島で誤認逮捕がありましたが、

    http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170911000036

    これも慎重な検討や厳格な審査が行われた結果なのでしょうか。もしそうなら、なぜ徳島県警は19日間も勾留したのでしょうか。証拠が乏しく自白を迫ったからでしょう。長期間の勾留や自白の強要も長らく問題視されていますが、政府の回答には言及さえありません。

     百歩譲って、日本の法制度には何の問題がないとしても、法を運用している人間の方には明らかに問題があります。何しろ法務大臣が治安維持法を問題視しない趣旨の発言をしても大して話題にならないのですから。こちらも政府は何も言及していませんが、故意に無視したのか、気づいていないのか。いずれにしても救いようのない話です。                   (てーるはっぴー)

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