語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

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答弁にもご注目
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    答弁にもご注目

     

    最近は公文書の改竄が話題になっていますが、少し前にニュースで連日話題になっていたのが、「裁量労働制」。事典によると、裁量労働制とは「実際の労働時間がどれだけなのかに関係なく、労働者と使用者の間の協定で定めた時間だけ働いたと見なし、労働賃金を支払う仕組み」(ASCII.jpデジタル用語辞典、コトバンクより引用)とあります。建前上は業務の進め方や労働時間の管理などが労働者側の裁量にゆだねられることになっていますが、実際にはいくら働いてもあらかじめ決められた労働時間分しか給料が支払われず、一定額で働かせ放題になる等の批判があります。

    既に一部の業種には適用されていましたが、政府は働き方改革の一環と称して裁量労働制を適用する対象範囲の拡大を目指していました。しかし、政府が答弁の根拠として用いていた厚生労働省の調査データについての問題が指摘され、結局裁量労働制の対象範囲拡大は見送られることになりました。

    データが不適切であれば批判するのは当然です。しかし、不適切なデータがどう用いられたかはあまり注目されていないような気がします。

    1月29日の衆議院予算委員会で、安倍首相は前述のデータを用いて次のような答弁をしています。

     

    裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある(以下、「答弁」とします。)

     

     いろいろな思惑を感じますが、推測は避けます。字面通りに読めば、裁量労働制で働く方が一般労働者の労働時間よりも短いデータもあるということは、裁量労働制で働く方が一般労働者の労働時間よりも長いデータもある、ということです。しかもどれだけ長く働いても原則決められた時間分しか給料は出ません。そして労働者がそのようなリスクを負う可能性がいかほどかについて明らかにされていない。データが正しくても受け入れてはいけない論理で、もっと厳しく批判されるべきです。

     もっともデータ不正発覚後に「答弁」は撤回されたので、大して心配することではないと思われるかもしれません。しかし、撤回したとはいえ裁量労働制の方が一般労働者よりも労働時間が短い場合もある、と労働時間が長い場合があるのをうやむやにして語ったのは事実です。そして「精査中の情報に基づいていたので答弁を撤回したが、データを撤回したわけではない」ので、

    http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018022002000266.html

    「精査」の終わったデータだったら、「答弁」はいつでも復活可能です。

     皆さんは「答弁」を読んでどう思われたでしょうか。裁量労働制の方が一般労働者の労働時間より短い場合もある、と言われてごまかされているわけではないと思いたいです。でも、「答弁」と似たような話で、戦前の植民地支配はいいこともあったという言説が結構はばを利かせているような気がしているのですが、気のせいでしょうか。                             (てーるはっぴー)

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