語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

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ヨイショ感想文募集への道(前編)
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    ヨイショ感想文募集への道(前編)

     

     前回、百田尚樹の小説『夏の騎士』の感想文募集を巡る騒動について「ヨイショ感想文募集という事態は突発的に生じたのではなく、以前からあった問題を放置した末に生じた産物だ」と書きました。今回はヨイショ感想文募集に至った過程を振り返ってみようと思います。

     『永遠の0』が大ヒットしてベストセラー作家となった百田ですが、話題になったのは作品だけではありません。作品の外でも右派向けの言動で注目されていました。例えばこんな感じで。

    https://twitter.com/hyakutanaoki/status/335778038639894528

     

     その後、2013年11月にNHKの経営委員に就任したあたりから彼の言動はヒートアップしていきます。典型的だったのは2015年、自民党の若手議員の会合で「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」と発言したことでしょう。

     個別の主張を批判するのではなく、気に入らない言論機関をつぶせということ自体、決して筋のいい話ではありませんが、政権与党の国会議員が主催する会合でそんな発言をしたら、権力を使って言論機関を弾圧するつもりと思われて当然です。極めて悪質な発言だということは当の百田自身、「冗談」なんて言い逃れをしていることからも分かると思います。

    https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H2P_Y5A620C1PP8000/

    https://twitter.com/hyakutanaoki/status/615122704971075584

     

     当然新聞などでも大きく報じられましたが、私の記憶では出版社系週刊誌はほとんど動かなかったと思います。言論の自由を脅かすという意味で、出版社にとっても看過できない話だったのに。ベストセラー作家には物が言えない、ということでしょうか。

     お前の記憶違いじゃないか、って? 百田の発言は確かに問題だが、ああいう発言はほかにもあるし、作品の問題じゃないから出版社が追及しないのは無理からぬ話じゃないか、って? 私の記憶に関して言えば、当てにならないというのは自分が一番よく分かっているつもりです。

     しかし、仮に出版業界が批判していたとしても、百田の放言がその後も続いているのを見れば、ほとんど意味を成していないのと同じことです。そして沖縄2紙に対する発言より前に、百田は自著の信頼性を失わせるような騒動を起こしています。

     2014年、百田は歌手のやしきたかじんの闘病生活を描いたノンフィクション『殉愛』を発表しましたが、その内容を巡って多くの疑問がネット上で噴出。さらに名誉を傷つけられたとして、たかじんの長女や元マネージャーが百田を訴える事態に発展しました。

     しかしここでも出版業界の動きは鈍かったです。そして身もふたもない発言が月刊誌『WiLL』編集長(当時)の花田紀凱から飛び出しました。

    https://news.yahoo.co.jp/byline/hanadakazuyoshi/20141210-00041395/

     

     花田は百田を擁護しているんですが、百田に対する訴えを「週刊誌もワイドショーもどこも取り上げない」ことを認めたうえで、取り上げないのは当然だとのたまっているわけです。こんなことを書く方も書く方ですが、書かれる方も書かれる方です。

     せめてこの時、立ち止まって考えることができれば。しかし、転落は続くのです。

    (てーるはっぴー)

     

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