語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

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ミュージカルの伴奏をする
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    ミュージカルの伴奏をする

     

     2018年より、ミュージカル劇団の公演に、劇伴を演奏する楽団の一員として参加している。きっかけは、ある親子向けコンサートに出演してカホンを叩いた際、共演した座長に誘われたのだ。曰く「その楽器は何というんですか。人間ごと借りたい」と(笑)。

     劇伴は1988年に別の劇団で1度やったので、30年以上ぶりだ。ちなみにオペラの伴奏(オーケストラ)も1度、2013年に「ドン・カルロ」でシンバルを演奏している。

     今回の劇団は、アマチュアかつ既存の作品を上演しながらも、台本も詞・曲も新たに書き下ろしていて完成度が高い。作曲者の本職はピアノの先生だが、公演のピアノは他の奏者に任せ、自身は役者として演じ歌うマルチプレーヤー。

     筆者が最初に参加した作品は「オズの魔法使い」。楽団はギター・ピアノ・打楽器(筆者)の3人編成。顔合わせやリハの前にメールでやりとりし、その後に楽譜が郵送されてきた。作曲者からの注文として、普通に歌の伴奏や舞台転換時の間奏のほか、SE(効果音)も生音でやってほしいとのこと。こういうのはアイデアや創造性の発揮のしどころだ。いきなり難易度の高い注文が来た。

     

    ・ドロシーが銀の靴を履いたときに魔法がかかる音

    ・ドロシーが竜巻に飛ばされて落ちてくる音

    ・ドロシーが地面に落ちた音

     

     魔法がかかる音というのは筆者も聴いたことがないが(笑)ウインドチャイムでキラリン〜か、フレクサトーンでポヨヨ〜ンとやるのがいいだろう(前者が採用された)。

     竜巻は当初、映画「ツイスター」からゴオオオという音をイメージしたが、ウインドマシンは借りると大がかりだし、ネットを見ると自作している人もいたがこれも大変そう。掃除機?ヘアドライヤー?フードプロセッサー?バスドラムのヘッドをこする?…しかしここで発想の転換というか急にひらめいた。ハーモニックパイプを使うのはどうか。パニック映画じゃないんだし、重低音ではなく「回転している感じ・空気や風の感じ」が出ればいいのでは。そして実際に回すわけだから演出的にも面白いのではと。作曲者もゴオオオよりヒュウウウが好ましいとのことで決定。

     地面に落ちた音はジェンベ。これも「ドーン」か、前打音を付けて「ドドーン」のどちらがいいかと尋ねると、後者がいいとの返信。クリエイティブなやりとりは楽しい。

     リハに入った後も「カカシの背中の棒が抜ける音」(フレクサトーン)「ブリキを叩く」(カウベル)「火災報知器」(トライアングル)「深い森の雰囲気」(シェイカー)などのオーダーが来る。作曲者は特に打楽器に詳しいわけではないが、もともと持っていたイメージのほか、筆者があれこれ対応するのを見ると、じゃあこんなこともできますかと発想が浮かぶようだ。ミュージカルのために新たに購入したものもあり、おかげで楽器が増えた(笑)。

     筆者が参加した2作目「はだかの王様」では「基本的にお城の中で話が進むので、オズとは感じを変えてほしい」と言われ、伴奏はスネアドラムを中心に組み立てたら「宮廷っぽい」と好評であった。そもそも作曲者はいかにも「らしい」曲を作るのが巧みで、「はだかの王様」ならバロック(バッハ)ぽい曲が来るので、こちらも自然とそれに沿った楽器の選択や演奏ができる。

     ミュージカルは、バンドやオーケストラとは違い、芝居の台詞や演技にタイミングを合わせたり、稽古の具合によっては尺(曲の長さ・構成)やアレンジが変わったり、ときには立ち位置から役者の動きが死角に入ったりで気を抜けないが、それがまた楽しくもある。

     筆者が参加したことで音楽的に幅が広がり、貢献できているなら、参加した意味があってよかったと思う。(command Z

     

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