前々回に「好きなドラマー」を書いたが、実はSNSで最初に見たお題は「好きなピアニスト10人」であった。「アコースティックピアノの演奏が」という意味で、以下挙げる。敬称略。
■高橋悠治
最初に聴いたのは坂本龍一の1stアルバム「千のナイフ」収録曲「Grasshoppers」での共演。筆者が現代音楽を聴き始めたころで、高橋は坂本のラジオ番組にも出演し、興味を持った。アルバムを何枚か聴き、コンサートにも行った。一度、後述する井上鑑のライブに行ったら客席が隣で、少し話したことがある。
■山下洋輔
中学時代に筒井康隆を読み始め、エッセイによく登場するので知ったのが最初。高校卒業式の前日、同級生に誘われて高円寺JIROKICHIでのライブを聴きに行った(山下トリオ+1)。ラジオやテレビもチェックして聴いた。筆者が即興演奏というものを初めて聴いたうちの1人。
■坂本龍一
高校時代にYMOを聴き始めて以来、多くのアルバム・ライブ・出演番組を聴いた。YMOは現在でも、好きな/影響を受けたアーティストのベスト3に入る。YMOではシンセサイザーを弾くことが多かったが、寺田倉庫等でのピアノソロライブも良かった。
■井上 鑑
最初に聴いたのは、土屋昌巳ソロ作に参加したり、NHK「ベストサウンド」のナビゲーターを務めていた時期。彼もアレンジやシンセ弾きの面が大きいが、ドラマ「ガリレオ」テーマ曲「vs.〜知覚と快楽の螺旋」(福山雅治作曲)他でのピアノも良い。長らく福山のアレンジやライブバンドを務めており、福山は紅白歌合戦でパシフィコ横浜からのライブ中継が恒例となっているので、毎年末は楽しみ。昨年は「井山大今」のライブを聴いた。
■ジョン・ポール・ジョーンズ
レッド・ツェッペリンにおけるジョーンズの役割は第一にはベーシストであるが、バンドには専任者がおらず、アルバム、ライブではほぼ全てのキーボードを弾いている。「No Quarter」「Darlene」等ではアコピの印象的なプレイを聴かせる。以前の仕事でインタビューしたのは一生の自慢。
■キース・ティペット
キング・クリムゾンのアルバム数作に参加、フリーキーでアバンギャルドなプレイを残している。正式なメンバーにはならなかったが、バンドや、リーダーであるロバート・フリップへの影響は大きかったらしい。筆者はクリムゾンのコピーバンドをやっているので、こういうピアニストがいたら共演したい。
■パトリック・モラーツ
イエスやムーディー・ブルースへの参加、ソロ作等で知られるが、ビル・ブルーフォードと生ピアノ&生ドラムだけで作った「Music for Piano & Drums」は、プログレ、ジャズ、クラシック、ラテンの枠を飛び越える秀作。このデュオで来日も果たし、聴きに行った。
■ライル・メイズ
パット・メセニー・グループへの参加で知られる。印象的なピアノで始まる「The Search」は学生時代にコピーした(筆者はドラム)。今年2月10日に死去。RIP。
■フェビアン・レザ・パネ
大貫妙子「ピュア・アコースティック・ライブ」(歌+ピアノ+弦楽4重奏)を生で聴き、良かった。背を真っすぐ伸ばした姿勢で弾く端正なプレイが印象的。ソロアルバム「ガネーシャの夢」も、ときどき引っぱり出しては聴いている。
■上原ひろみ
アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスとトリオを組んだことを知り気になっていたところ、あるときライブハウスで開演前にかかっていたプログレシブな曲がかっこよく、スタッフに尋ねたら彼らのアルバムであった。先日その店に初出演した際に上記の話をしたら、さっそくかけてくれた。いいハコだ!
クイーンのフレディ・マーキュリーや矢野顕子のピアノも好きだが、ここに並べるのはちょっと違う気がする。(command Z)[2020/03/21記]