語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

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最終講義
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    最終講義

     

    大学時代に大変お世話になった先生が3月で退任されることになり、その最終講義を聴講しに先日数年ぶりに母校を訪ねました。周囲の風景は多少変わりましたが、キャンパス内はほとんど変わっておらず、昔の記憶がよみがえってきました。

     在学当時、私は図書館情報学を専攻していました。あまり耳慣れない言葉だと思いますが、図書館情報学とは、貸し出しなど図書館のサービスや運営、歴史等を学ぶ図書館学に情報の性質や検索、伝達の過程等を学ぶ情報学が結びついてできた学問です。本に関わる仕事がしたいという思いから、司書になるために選んだ道でしたが、周囲の皆さんには迷惑をかけてばかりでした。

     そんなことを考えていると、先生が教壇に現れ講義が始まりました。講義では、歯医者と併設している図書館、ランドセル置き場がある図書館など、先生が訪れた全国のユニークな公共図書館(北は北海道から南は沖縄県まで全都道府県計772館!)が多く紹介されました。「図書館にそんなに違いはないだろう」と思っていましたが、いろいろあるものです。

     このように書くと「ナニコレ珍百景」の図書館版みたいですが、「?」のパネルを使ってレファレンスサービス(図書館員が利用者の調べものを支援するサービス)を分かりやすくする取り組み、地元の企業が雑誌を購入する事例など、現場の地道な取り組みの話もありました。そして最後に先生は“If information is currency of democracy, then libraries are its banks”(情報が民主主義の通貨だとしたら、図書館は銀行である)というアメリカの上院議員の言葉を引用し、図書館は銀行とは違って貸し渋りはしません、とまとめました。真面目な中にもユーモアに富んだ講義で、図書館の目指すべき道がよくわかる内容でした。

     紆余曲折あって、図書館の世界から離れ、現在では校正の世界にいる私ですが、図書館情報学を通して情報とその社会的責任について学んだことは大きかったと思います。そして、目立たないが情報に対して大きな責任を担い、一人一人が主体的に考えて行動するために不可欠な役割を持っているという点で、図書館と校正はよく似ているということを今回の講義で再確認しました。           (てーるはっぴー)

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