語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

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マンガ考−2
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    マンガ考―2

     

    岩明均によるコミック作品「ヒストリエ」は、2003年から月刊「アフタヌーン」で連載中の歴史漫画で、現在10巻まで刊行されています。

    舞台は古代ギリシア。主人公は、のちにマケドニアのアレクサンダー大王の秘書官となる男、エウメネス。彼は少年時代を、都市国家カルディアで、裕福なギリシア人の子息として過ごしている。文武に秀で、町の有力者で奴隷商である父から大きな期待を寄せられており、その前途は明るかった。気になることと言えば、たまに夢で見る、見知らぬ異民族(バルバロイ)の女のことくらい。夢の中で女はギリシア人の男たちと戦い、次々と切り殺すが、最後には寄ってたかって殺されてしまう。そんなある日、主人を殺して逃亡したスキタイ人の奴隷が、町で大事件を引き起こしたことをきっかけに、エウメネスの運命は大きく変わっていく……。あらすじはこんなところ。

    さすが「寄生獣」の岩明さんだけあって、一つのコマから次のコマへの巧みなつなぎ方による、微妙な感情変化の表現は本当にすごい。特に第3巻、エウメネスと奴隷カロンの別れは、絶対に泣かずにはいられない名シーンです。普段不愛想で無表情なカロンが長年胸にしまってきた秘密。それが、過去の回想シーンによって明らかになるのですが、そこからいきなり現在のカロンの表情のクローズアップへとコマが移ることで、彼の深い後悔と悲しみが見事に表現されています。すごい表現だと思います。

    いいマンガはどれもそうなのかもしれませんが、岩明さんの作品は読むたびに「映画的な」印象を受けます。それはやはり「コマ割り=カット」の巧みさということなのでしょう。身近なマンガ好きに、この作品のファンが意外に少なくて、少し寂しく思っています。歴史の勉強にもなるし、ぜひおすすめしたいと思います。   (のみかた)

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