語り継ぐVERITA―校正者の独り言―

<< 共謀罪について思うこと(その3) | main | マンガ考(3) >>
共謀罪について思うこと(その4)
0

    共謀罪について思うこと(その4

     

     「テロ等準備罪」という名称にも表れているように、共謀罪はテロ対策を大義名分にして作られようとしています。その際よくセットで言及されるのがパレルモ条約(TOC条約、国際組織犯罪防止条約とも)です。現在187か国・地域が批准していますが、日本は未批准です。パレルモ条約は「テロを含む幅広い国際的な犯罪組織を一層効果的に防止するための国際的な枠組み」(安倍首相)なので早急に批准が必要だが、そのためには共謀罪を創設することが必要だ、と政府は主張しています。

     しかし、政府の説明とは異なる見解が5月5日の朝日新聞に掲載されました。パレルモ条約に加入するための立法作業の指針となる「立法ガイド」を作成したパッサス氏は取材に対し、

    ・条約はイデオロギーに由来する犯罪のためではない

    ・思想信条に由来した犯罪のための条約は既に制定され、国連安保理の決議もある

    ・条約は「重大な犯罪に参加することへの合意」か「集団への参加」のどちらかを罰することを求めている。そのような法律がなければ、新法の整備の必要だ。もっとも、既存の法律で対応できれば新法はいらない(ただし日本の既存の法律が条件を満たしているかどうかは答える立場にない)

    と語っています。

     「イデオロギーに由来する(思想信条に由来した)犯罪」という文言が少しわかりづらいですが、「なぜ、テロは除外したのか」という記者の問いかけに対して、思想信条に由来した犯罪のための条約は既に制定されていると答えているので、「イデオロギーに由来する(思想信条に由来した)犯罪」というのは「テロ」とみなしてよさそうです。また、既存法でも対応できる可能性があるなら、共謀罪は必ずしも必要ないということではないでしょうか。

     仮にパッサス氏の主張が当を得ていないとしても、パレルモ条約批准がテロ対策に必要という主張が怪しいことに変わりはありません。最近フランスやベルギーでテロ事件が起きましたが、いずれも条約加盟国です。共謀罪を創設してパレルモ条約を批准したからといってオリンピックが安全に開ける、というものではなさそうです。

    前回「テロ対策の内実について書く」と予告して書きましたが、実際は内実以前に言葉の根拠さえ不確かだった、という話でした。今後も会期末まで共謀罪について書く予定ですが、具体的な内容については審議を見ながら考えていく予定です。

    (補記)パレルモ条約については野党も批准に肯定的ですが問題点も指摘されており、無批判に批准してよいものかと個人的には思っています。しかし、現在の自分の筆力ではパレルモ条約に対してどう向き合うべきかうまく書けません。ただ、現在の政府の姿勢がパレルモ条約の論旨をも歪めている、ということは伝えられたのではないかと思っています。                          (てーるはっぴー)

    【管理人より】

    共謀罪法案は、昨24日、衆議院本会議を通過しました。このまま大過なく参議院でも可決成立させられていくのでしょうか。

    それに先立って、かつて治安維持法で弾圧された経験をもつ高齢の人々の記者会見をテレビで観ました。無実の人々を含む数百名もが獄死した、今回もその当時と同じです、と。

    ことさら静かに、テロとも「組織的犯罪」とも無縁に過ぎ去っていく私たち日本人の日常生活、それこそが「新しい戦前」なのだと思います。いま、何をするべきでしょうか?

     

    | co-verita | 社会の動き | 09:23 | - | - | - | - |
      12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    2728293031  
    << October 2019 >>
    + SELECTED ENTRIES
    + CATEGORIES
    + ARCHIVES
    + MOBILE
    qrcode
    + LINKS
    + PROFILE