BOW WOW/VOW WOW他で活躍したドラマー新美俊宏が亡くなった(-5/29、癌、66歳)。RIP.
前身のBOW WOWは1975年のデビュー当初から何となく知っていた。日本のハードロックバンドであること、キッスやエアロスミス来日公演の前座を務めたこと、リーダーでギター&ボーカル山本恭司の名前など。
父の仕事(スポーツ紙)の関係で家にアルバム「ASIAN VOLCANO」もあり、何度か聴いたがそれ以上の積極的な興味は持たなかった。洋楽のそれこそキッスやエアロ、クイーンやレッド・ツェッペリンを聴くのに一生懸命で、日本のバンドには偏見があったかもしれない。
BOW WOWは80年に人形特撮TVドラマ「Xボンバー」の主題歌「ソルジャー・イン・ザ・スペース」を担当し、これは番組を見ていたので毎週のように聴いていた。後年、筆者がアニメ&特撮ソングバンドを組んだ際には、自ら候補曲に挙げて採用され、ドラムを叩いてコーラスも取った。
85年、NHK教育テレビ(当時)で「趣味講座 ベストサウンド」の放送が始まった。ロック・ポップス・フュージョン等の演奏を実践的に解説・講義する番組で、パーソナリティは難波弘之とデビュー間もない中村あゆみ。筆者は毎回見ていたが、「ハード&メタル・サウンド」の初回に山本恭司が単独で、第2〜4回にVOW WOWとしてゲスト出演した。そう言えばメンバーチェンジしてバンド名も変えたと雑誌で読んだ記憶があるな。
そして講義の他にゲストのスタジオライブがあったが「Hurricane」も「Love Walks」もめちゃくちゃかっこいいぞVOW WOW!
しばらく後に3rdアルバム「III」がリリースされ、筆者が最初に買ったのはこれだ。次いで2nd「Cyclone」1st「Beat of Metal Motion」も購入。なるほど1stではまだ日本語詞と英詞が半々で、2ndから全英詞なのか。LPからCDへの過渡期で、以上3枚は最初にLP、後にCDを買った。
オリジナルアルバム6枚はどれもクオリティが高いが(楽曲も演奏も)、特に「III」は「日本HMの最高峰」と言う人もいるくらいで筆者も一番好きだ。当初は、筆者がそれまでよく聴いていた70年代ハードロックに比べて音作りをややいじりすぎ(いわゆる「ドンシャリ」)かなとも感じたが、時代性を考えるとあれくらいがいいバランスだったのだろう。
山本のギターテクニックは以前から有名だったが、キーボードの厚見玲衣も派手でトリッキーなテクニシャンだ。新美とベースの佐野賢二もさすがバンドを長年支えてきた実力者。新美はワンバスを貫いたが、例えばラウドネスの樋口崇孝などとは違い、フュージョンドラマーのようにタムをずらっと並べた多点セットが特徴だ。
そしてボーカル人見元基の圧倒的な歌唱力と英語力(彼もまた日本最高のボーカルと呼ばれる)。さらに山本と厚見は以前のバンドでリードボーカルを取っていたのでコーラスワークもばっちりだ。
筆者がVOW WOWを知って間もなく86年に中野サンプラザでライブがあり、同じ吹奏楽団のサックス吹きが興味あるというので一緒に聴きに行った。このときの模様はライブアルバムとして発売された(ライブはこれを含めて計3回行った)。
その後はベーシストの交代が2度ありつつもアルバムやライブを重ね、渡英してイギリスの音楽家組合へも加入が認められるなど目覚ましい活躍を見せた。世界的にはHR/HMがやや下火な時期だったが、筆者は「アメリカンハードロックはKISS、ブリティッシュハードロックはVOW WOWを聴いていればいい」と公言していたものだ。
アメリカではイギリスほどの人気を得られず解散してしまったのが残念。メンバー同士の個性のぶつかり合いもあったようだ(後年BOW WOWは再結成、VOW WOWも一時的に再結成)。
解散後も筆者はコピーバンドを組み、セッションを主催し、そしていまでも愛聴している。(敬称略、command Z)[2023/06/09記]